夏場の車内はエアコンだけでは快適性を保ちにくい。ファンシートやネックファンを使い、体に直接効く暑さ対策を取り入れよう。
◆エアコンだけでは足りない夏の車内暑さ対策
近年の夏場の気温上昇はご存じの通り過酷さを増している。ゴールデンウィークの時点ですでに30度超えの真夏日になることもあり、夏シーズンそのものが長くなっているのも近年の傾向だろう。夏本番になると35度超えの猛暑日、さらには40度超えに迫る厳しい暑さも珍しくなくなっている。
そんな状況でもクルマで出かける際には「エアコンがあるから大丈夫」と思っているユーザーも多いだろう。しかしエアコンだけで快適な車内環境を作るのは難しくなっている。ここ数年の夏ドライブを経験したユーザーなら、その意味が分かるはずだ。
エアコンは車内に冷気を循環させるため、車内温度を下げてくれる。ただし冷気があたる部分や風の通り道はしっかり冷えても、それ以外の場所は不快なままというケースが多い。中でも不快感が強いのがシートではないだろうか。
背中やお尻が暑く、エアコンが効いている状態でもシートに密着する部分だけがじっとり汗ばむことがある。そこで近年注目を集めているのが、シート側から体を冷やすカー用品だ。純正装備ではシートヒーターの普及が進んでいるが、次に求められるのは夏のドライブを快適にするシートクーリングというわけだ。
◆ファンシートは背中とお尻を冷やせる実用アイテム
そこで装着したいのが、カー用品店などでファンシートやクールシートの名前でラインアップされているアイテムだ。シートの上に被せて設置するシートカバー形状で、メッシュ素材と電動ファンを組み合わせ、内部に空気の流れを作れるのが特徴となる。
車内の冷えた空気を吸い込み、メッシュ状のファンシート内へ送り込むことで、密着する背中やお尻、太ももまわりに涼しい空気を流してくれる。車内温度は下がっているのに、シートと体が触れる部分だけ汗ばむ。そんな夏場の不快感を解消してくれるので、暑さ対策として導入するメリットは大きい。
一方でファンシートには電動ファンの作動音が気になる場合があるほか、製品によっては座り心地が硬く感じられることもある。購入時にはファンの静音性、厚み、固定方法、電源の取り回しを確認しておきたい。脱着は比較的簡単なので、気温が上がってきたタイミングで取り付ければ良いだろう。
◆冷感シートカバーは手軽さと価格のバランスが魅力
座面やシートバックの暑さは気になるが、もっと手軽なアイテムが欲しいユーザーなら冷感タイプのシートカバーも良いだろう。体が触れる部分にひんやりと感じる冷感素材を採用しているため、乗車直後から背中やお尻まわりの不快感を抑えやすい。
通気性の高いシートカバーも用意されているので、空気の層で体とシートの密着を防ぎ、暑苦しさを軽減してくれる。ファンシートのように電源を必要としない製品も多く、取り付けが簡単で価格も比較的手ごろなのが魅力だ。
ただし冷感素材は炎天下で車内が高温になった状態では効果を感じにくいこともある。乗車前にドアを開けて熱気を逃がす、サンシェードで直射日光を抑える、エアコンで車内温度を下げてから使うなど、ほかの暑さ対策と組み合わせると効果を発揮しやすい。
◆ネックファンは首まわりを冷やして体感温度を下げる
もうひとつ効果的な冷却アイテムがネックファンだ。その名の通り首まわりを冷却するためのファンで、ヘッドレストに差し込むタイプが多い。電動ファンでドライバーの首まわりに送風し、体感温度を下げるのに役立つ。
体温調節では大きな血管が通る部分を冷やすことが効果的とされている。乗車時に肌が露出しやすく、太い血管が通っている部分といえば首まわりだ。そこに車内の冷気を集めて送風できれば、ピンポイントで涼しさを感じやすくなる。
さらにネックファンは、車内の冷気を循環させるサーキュレーターとしても活用できる。ただし風が直接あたり続けると乾燥や冷えすぎを感じる場合もあるため、風量調整ができる製品を選ぶと安心だ。長距離ドライブでは弱めの風量で使い、必要に応じてオン・オフを切り替えるのが良いだろう。
◆目的別に選ぶ車内冷却アイテムの比較ポイント
夏の車内暑さ対策は、どこを冷やしたいかで選び方が変わる。
・背中やお尻の蒸れを抑えたいなら→ファンシート
・手軽に暑さ対策を始めたいなら→冷感シートカバー
・首まわりを冷やして体感温度を下げたいなら→ネックファン
・後席や車内全体の空気を動かしたいなら→小型サーキュレーター
どのアイテムも単体で劇的に車内温度を下げるものではない。しかしエアコンと組み合わせれば、冷気を体に届きやすくしたり、汗ばみやすい部分を快適にしたりできる。つまりポイントは、車内全体を冷やすエアコンと、体を直接冷やす冷却アイテムを組み合わせることにある。
猛暑日や厳しい暑さが毎日のようにニュースで流れる近年の夏、快適にドライブするためにはピンポイントの暑さ対策が欠かせない。効果が高い部分に集中して冷却アイテムを取り入れれば、真夏のドライブでも想像以上に快適な車内環境を作ることができるだろう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後、出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務し、独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がける。カーオーディオ雑誌の編集長も請け負うなど、現在もカーオーディオをはじめとしたライティングを中心に活動中。




