ブリヂストンの市販車用タイヤラインナップに新しい仲間が加わった。名前はフィネッサ(FINESSA)。
“FINE”と“SAFETY”を組み合わせた造語で、それをイタリア語風にアレンジしている。彼らのタイヤブランドはすべてイタリア語もしくはそれ風だ。ポテンザ(POTENZA)はイタリア語の「強さ」や「能力」を意味している。
ではそのポジションはというと、エコピア(ECOPIA)よりプレミアムで、レグノ(REGNO)より経済的となる。経済的とはアフォーダブルということだ。対象車種は軽自動車やコンパクトカー、セダンやミニバンといったところ。サイズの展開は14インチから19インチなので、おおよそ想像はつくであろう。カタログのキービジュアルに使われるのはトヨタ『カローラツーリング』である。
ブリヂストン「FINESSA HB01」試乗会
なので、アピールポイントはウェット性能を上げた高い安全性と静粛性、再生資源などの採用といった素材から見直したサスティナビリティへの貢献となる。幅広いニーズに応えた使い勝手の良さが特徴だ。
その第一弾となるのが今回試乗したフィネッサHB01で、前述した特徴を出すためにトレッドパターンに多くの工夫を施している。例えばサイプの形状がそうで、ブリヂストンでは従来直線的に入れていたものをM字型に変更した。走行時負荷によるタイヤの変形が起こると、ブロック同士が強く結びつくことで剛性を高め、接地面を増やすという手法だ。しかも路面にかかる面圧を均一にすることで、パターン全体でグリップ力を高められる。
ブリヂストン「FINESSA HB01」試乗会また、ウエット性能アップには、スプラッシュラグとスクエアグルーヴといったパターンが力を発揮できるようにした。これらは排水量を増やしたり、摩耗してからもその性能が落ちないようにしたりする。結果、フィネッサはエコピア比で制動距離を大きく縮めた。昨今、クルマの方がウェット性能を高めるためのドライブモードを用意するなど、雨の日の安全性を高めようとしているが、タイヤもそれに合わせるように著しく進化しているのを感じる。各社解析能力が上がり、これまで見えなかった部分が明るくなったことで、この分野の性能は高められた。
静粛性の面ではスリットサイレンサーが大きく役立つ。これは主溝とラグ溝を繋ぐことで、走行中のノイズを気になりにくい音質にチューニングするらしい。しかもパターンノイズも低減されるのだから好都合だ。フィネッサはキャビンが静かになり前席と後席との会話がスムーズになることを心がけて設計された。
ブリヂストン「FINESSA HB01」試乗会試乗車は現行型のトヨタ『プリウス』だった。装着されるフィネッサHB01のサイズは195/60R17である。そもそも特殊なサイズのプリウスだが、それに対応していることからもこのタイヤが広範囲でサイズを用意しているのがわかる。フィネッサのサイズ表を見ると、195/50R19もちゃんとあった。
ブリヂストン「FINESSA HB01」試乗会走らせた印象は全般的に滑らかで当たりが柔らかい。路面の細かい入力に対してゴツゴツした反応はなく、快適性に振っているのがわかる。この滑らかさは転がり抵抗を低減させた結果なのだろう。それでいてグリップ力は高くクルマを安定させる。自動車専用道路でレーンチェンジを繰り返してみたが、なかなか良い手応えだった。外側のタイヤが面でグリップしている感覚が伝わる。
静粛性はただ走っていてもわからないが、路面がざらついているところでは確かに思った以上に雑音はない。特に中速域でのゴーっという音は軽減されている。大きな入力ではなく、こうした細かい周波数に対して新しいパターンが効果を発揮している気がする。
ブリヂストン「FINESSA HB01」試乗会残念ながらウェット性能とサスティナビリティの貢献の部分は今回体感できなかったが、ウェットでの高いコントロール性は大いに期待したいところである。いただいた資料にはエコピアと比較した制動距離の短くなったデータが載っている。電子制御満載のクルマが多い今、昔より雨の日のスリップ事故のニュースは聞かなくなっているが、やはり精神的な不安は大きい。フィネッサのパフォーマンスがそこを補うのであれば素晴らしいと思う。なので、次回はウェット路面でのテストドライブを試みたい。




