オーディオ初心者にとって、プロショップのデモカーはシステムアップのお手本になる存在だ。前回に続き、福井県・マリノサウンドのアクアから高音質化のポイントを探っていく。
◆マリノサウンドのアクアに見る高音質カーオーディオのシステム構成
前回から紹介しているマリノサウンドのデモカー、トヨタ『アクア』。車両製作のテーマとなったのは“コンパクトカーをベースにして高音質化を図る”ことだった。来店したユーザーにそのサウンドを試聴してもらうため、ショップのノウハウを盛り込んだ高音質システムが構築されている。
システムをざっと見ていくと、全体の司令塔となるDSPにはリゾルトのM-DSPをチョイス。オーディオプレーヤーにはFiiOのDAPであるM27を採用した。いずれも高音質で定評のあるユニットで、機器による音の違いを体感するにも絶好の組み合わせだ。
さらにパワーアンプにはARCオーディオのカッパー4.4コンペティションを2台使用。サブウーファー用にはARCオーディオのナイトホークを組み合わせた。
スピーカーにはモレル・イレイトカーボンのフロント3ウェイを採用し、リアにはテンポウルトラインテグラを使用。サブウーファーにはウルティモTi104をインストールしている。
ここからは前編でも紹介した、マリノサウンドが考える音質アップのための4つのポイントから残る2項目について紹介していこう。
◆カーオーディオの高音質化を左右するRCA/スピーカーケーブル選び
前編からの続きで、マリノサウンドが考える高音質化の3つ目のポイントとなるのがケーブルの選定だ。カーオーディオの信号系で主に用いられるのはRCAケーブルとスピーカーケーブル。これらを狙う音の方向性に合わせて選ぶことが、まとまりのあるサウンドを作る重要なポイントになるという。
「求めているのが解像度なのかレンジの広がりなのか、狙ったサウンドの方向性に合わせて選ぶことで無駄なく効果が現れます。どんな目的でケーブルを選ぶのかをあらかじめ見定めたうえで、間違いのないセレクトをすることがおすすめです」
その点を理解したうえでショップと相談しながら、愛車のシステムとの組み合わせまで考えて慎重に選びたい。
「ケーブルを変更したことで大きく音が変化することがあります。実際にあった例ですが、一般的なスタンダードクラスのケーブルから某ブランドのミドルレンジモデルに変更したところ、一気に音のレイヤーが出てきたことがありました。リスニングポジションで聴いていても、音の遠近感を感じられるようになったのです。このように狙い通りに決まるとケーブル交換の効果は大きいですね」
ケーブルを変更することで、この例のように立体的な音像を引き出すことも可能になる。さらにトーンバランスを整える面でもケーブルは大きな効果を発揮する。
ケーブルチューニングが面白く、高音質化や自分の狙ったサウンドを作るうえで欠かせないのはそんな理由からなのだ。
◆DSP調整でカーオーディオの音はどう変わる? 初心者にも分かる効果
そしてマリノサウンドが考える4つ目の高音質化のポイントがDSPのフル活用だ。現在ではミドルレンジ以上のカーオーディオシステムで当然のように使われているDSPだが、マリノサウンドを訪れるオーディオ初心者にはDSP未経験のユーザーも多いという。
「ショップに来店した初心者ユーザーの中には、DSPで調整した音を聴き、音像がクルマの中央から聴こえることに、これまで経験したことのない違和感を覚える方もいます。そんなときには、まず純正オーディオがどのような音になっているのかを説明します」
純正オーディオでは音像がふわっとしてとらえどころがなく、シャープさが不足している場合があることを伝えたうえで、DSPによる調整がどのような効果を発揮するのかを紹介していく。
「実際に調整するとクリアでキリッと引き締まった音になります。変化を体感してもらうことで、良い音とは何かも理解できるようになるのです」
DSPという言葉だけを聞くと難しく感じるユーザーもいる。そこでマリノサウンドでは、専門用語を並べるのではなく実際の音の変化を入口にして理解を深めてもらうという。
「センター定位や帯域バランスなど、いきなり難しいことを説明するのではありません。まず純正システムとの違いや音の聴こえ方を実際に体感してもらい、段階を踏んで理解してもらうように心がけています。そこまで理解が進むと、DSPが高音質化にとっていかに大切なのかを誰にでも分かってもらえるようになります」
デモカーで音を聴かせるだけではなく、高音質化に必要なポイントを分かりやすく説明するマリノサウンド。ユニットのセレクトやシステムデザインに加え、効率良く高音質化するために押さえておきたいポイントが随所に盛り込まれている。
愛車のカーオーディオを高音質化したいなら、まずプロショップのデモカーを試聴してみるのも有効だ。機器選びだけでは分からない音の違いやDSP調整、ケーブル選びの効果を実際に体感することが、理想のサウンドへ近づく第一歩になるだろう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後、出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務する。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請け負う。現在もカーオーディオをはじめとしたライティングを中心に活動中。

![「良い音」って何だ? 初心者こそ聴いてほしいプロショップのデモカー[car audio newcomer]by マリノサウンド 後編](/imgs/thumb_h2/2230210.jpg)


