帝人、自己修復・高リサイクル性を両立した新型熱硬化性CFRP開発…自動車などに展開へ

自己修復機能と高いリサイクル性
自己修復機能と高いリサイクル性全 1 枚

帝人は、従来の炭素繊維複合材料(CFRP)と同等の機械的特性を持ちながら、加熱による自己修復機能と高いリサイクル性を兼ね備えた新たな熱硬化性CFRPを開発したと発表した。

■開発の背景

炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたCFRPは「強くて軽い」という特長から、航空機や自動車、スポーツ用品など幅広い用途で使用されている。

一方、地球温暖化を背景に製品ライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)排出量削減へのニーズが高まっている。従来の熱硬化性CFRPは溶融や再成形ができず、使用後の廃棄物の多くが焼却や埋め立て処理されており、環境負荷軽減に向けた新材料の開発が急務となっていた。

帝人はこれまで、環境配慮型の炭素繊維ブランド「テナックスネクスト」の展開などを通じてGHG排出量の低減や廃棄物削減に取り組んできた。今回は長年培ってきた高分子材料の設計技術を活用し、新たな樹脂の開発に成功した。

■3つの特長

開発品は3つの特長を持ち、製品の製造・消費・廃棄の各段階でリサイクル促進と廃棄物削減に貢献する。

(1)加熱による自己修復機能

所定の温度で短時間加熱することで、損傷した樹脂層が修復される。使用過程で劣化したCFRPを廃棄せずに継続使用できるため、製品の長寿命化を通じた廃棄物削減に貢献する。

(2)再成形による高いリサイクル性

従来の熱硬化性CFRPは成形後に再成形できなかったが、開発品は所定の温度域で流動性を示すため、圧縮成形などによるCFRPのリサイクルが可能だ。

(3)薬液による炭素繊維の高いリサイクル性

従来、使用済みCFRPから炭素繊維を分離するには400℃を超える高温炉で長時間かけて樹脂を燃焼分解する必要があり、大きな環境負荷を伴っていた。開発品は特定の薬液に浸すだけで樹脂を分解できるため、環境負荷が低く生産性にも優れた炭素繊維のリサイクルを実現する。

なお、本成果の一部は内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「サーキュラーエコノミーシステムの構築」によって得られたものだ。

■今後の展開

帝人は2028年度に本開発品のサンプル提供開始を目指し、大学や研究機関とも連携しながら研究開発を進める。軽量化・耐久性向上・環境負荷低減のニーズが高い航空機、自動車、産業機械などを中心に幅広い用途への展開を図る。

将来的な量産化および社会実装を見据え、材料設計から部材設計、リサイクルプロセスまでを一体的に最適化する開発を推進するとともに、パートナー企業との連携による用途開発およびサプライチェーン構築も進める方針だ。

《森脇稔》

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 人気のコンパクトミニバン、トヨタ『シエンタ』に次期型の情報…土曜ニュースランキング
  2. 新型マツダ『CX-5』のセンターディスプレイ専用に設計、ディーフ「保護フィルム」2製品を発売
  3. 三菱のスーパーセダン『ランエボ』ついに復活? 400ps超、PHEVの可能性
  4. HKS『ジムニーノマド』向け車高調「ハイパーマックスG+」発売、2仕様展開で“30段調整”を実現
  5. トヨタ『シエンタ』次期型は2027年登場か---新開発1.5Lエンジン搭載
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 居眠り・脇見を監視、「DMS」を義務化…乗用車は2031年から、バス・トラックではすでに普及
  2. ホンダの交換式電池、建設現場で実証…高さ385mの「トーチタワー」
  3. 【全文PDFプレカン】日産自動車 長期ビジョン発表会
  4. 電動車は誰が最後まで面倒を見るのか…KPMGコンサルティング プリンシパル 轟木光 氏[インタビュー]
  5. 生活道路の法定速度が30km/hへ、9月1日から引き下げ---ここまで影響アリ
ランキングをもっと見る