【日産 エルグランド 新型試乗】「走りの楽しさ」を武器に失地回復へ、16年ぶりモデルチェンジの実力

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【日産 エルグランド 新型試乗】「走りの楽しさ」を武器に失地回復へ、16年ぶりモデルチェンジの実力【日産 エルグランド 新型試乗】「走りの楽しさ」を武器に失地回復へ、16年ぶりモデルチェンジの実力

日産エルグランドG e-4ORCE(4WD)【試乗記】

「日産エルグランド」が16年ぶりのフルモデルチェンジを敢行。すでにプレミアムミニバンのジャンルは後発のライバルに席巻されている現状だが、日産はそのライバルとは別のアプローチ=走りの楽しさで復権を目指すという。その成否やいかに。

トップを目指さない(?)販売戦略

新型エルグランドの正式発売から約半月後となる8月3日におこなわれた2026年度第1四半期決算発表の場で、日産のイヴァン・エスピノーザ社長は、新型エルグランドの受注が8000台を超えていることを明らかにした。エスピノーザ社長によると「大変好調」とのことである。

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また、今回の取材現場となったメディア試乗会でお話をうかがった商品企画担当氏は、9月1日の取材時点では累積受注台数がさらに上乗せされていることを示唆しつつ、「お客さまには少しお待ちいただいている状況です」と語っている。ネット情報などをまとめると、納期は半年前後といったところらしい。エルグランドの販売目標は公表されていないが、エルグランドの唯一にして最大のライバルであるトヨタの「アルファード/ヴェルファイア(以下、アルヴェル)」が月間平均1万台に迫ることを考えると、もともとの計画からして、それよりはだいぶ少ないのは間違いない。

そうした戦略は、絞り込まれたバリエーションからも見て取れる。新型エルグランドに用意されるパワートレインは、1.5リッター3気筒ターボを核とした「e-POWER」=非プラグインハイブリッド一択で、駆動方式も4WDのみ。基本グレード構成も「X」と「G」というシンプルさ。あとは、別会社の日産モータースポーツ&カスタマイズによる「AUTECH」と「AUTECHライン」、日産サルーン伝統の最高級グレード名を冠する「VIP」といった特別架装車が用意されるだけだ。

ちなみに、VIPはシート表皮に最上級のプレミアムナッパレザーを採用していて、今回試乗したGグレードの「テーラーフィット」より、はっきりとソフトな肌ざわりだった。もっとも、Gに標準のテーラーフィットも“本革のナッパレザーなみの高触感“をうたう合皮で、新型エルグランドでは全車のステアリングホイールにも巻かれる。

2010年以来のモデルチェンジで4代目に生まれ変わった「日産エクストレイル」。今回の試乗車は上位グレードの「G e-4ORCE」(757万9000円)。

まずは「ゼログラビティーシート」の2列目へ

繰り返しになるが、今回の試乗車は先行受注でも全体の約9割を占めるという上級のGグレードである。もっとも、約68万円安いXグレードでも、タイヤサイズを含む走行メカニズムやシートアレンジは共通だ。

まずは藤沢編集長にステアリングをあずけて、特等席であるはずの2列目に座る。新型エルグランドの2列目は、全車が中折れシートバックとオットマンのついた独立キャプテンシートの7人乗りとなる。

対するアルヴェル7人乗りの2列目の選択肢は3種類あって、新型エルグランドのそれは、もっとも手ごろな「リラックスキャプテンシート」と2番目に豪華な「エグゼクティブパワーシート」の中間……といったところだ。リクライニングやオットマンが電動であるところはリラックス~より凝っているが、エグゼクティブパワー~のような固定式アームレストや収納式テーブルの用意はないからだ。

新型エルグランドの2列目は日産自慢の「ゼログラビティーシート」で、その名のとおり、少し浮遊感のある柔らかな肌ざわりと適度なホールド性が両立している。実際の乗り心地も、少なくとも前後方向の頭の揺れは少ない。これはステアリングを握る藤沢編集長の運転によるところもある。ただ、その後に自分で運転して気づいたのだが、新型エルグランドは、車速や前後Gの微調整がすこぶるやりやすい。

e-POWERは電気自動車の経験が深い日産の純電動駆動車らしく、アクセル特性はリニアそのもの。さらに、右足を緩めるだけで強めの回生ブレーキがかかる「e-Pedal」も使えるし、e-Pedalより減速反応が素早いシフトのBレンジを選ぶこともできる。ドライブモードの「パーソナル」では回生レベルを4段階から選択可能。2モーター4WDの「e-4ORCE」も緻密なトルク配分で加減速時のフラット感を醸成しているし、「完全停止直前にペダルを少しだけ緩める」という上級ブレーキ操作を自動でこなす「スムースストップ機能」もつく。

パワートレインは発電用に1.5リッター3気筒ターボエンジン(最高出力140PS)を使う「e-POWER」。全車が4WDの「e-4ORCE」となっており、フロントモーターは205PSを、リアモーターは136PSを発生する。

効果絶大のアクティブノイズコントロール

いっぽうで、路面によっては頭がブルッと横方向に揺すられるクセが強めなのは、前後方向がすこぶるフラットで快適なのもあって、よけいに気になった。また、2列目の足もとでときおり感じるフロア振動も、アルヴェルではあまり経験のない類いのものだった。

こうして乗り心地では一長一短の2列目だが、静粛性は驚くほど高い。箱根の上り坂で1.5リッター3気筒ターボが高回転まで引っ張られているはずなのに、2列目ではエンジンが回っていることにすら気づきにくいくらいだ。さらにロードノイズもほとんど気にならない。

新型エルグランドの騒音対策は徹底している。日本では初出となる第3世代e-POWERはエンジン振動の40%低減に成功したという。また、フロントと三角窓、ドア4枚の計7枚のウィンドウに二重の遮音ガラスが全車標準。さらに、今回の試乗車のようにGグレードにオプションをトッピングすると、それが高機能遮音膜をサンドした「超高遮音ガラス」にグレードアップする。また、パナソニックオートモーティブシステムズとの共同開発によるアクティブノイズコントロールは、各部に加速度センサーを追加して振動を検知することで、従来のエンジン音に加えてロードノイズも低減させるという。これは世界初らしい。

新型エルグランド最大の自慢である静粛性は運転席でも素晴らしい。エンジン音こそ2列目よりは気づきやすいが、よほど意地悪に耳を澄まさないかぎり、細かい音質までは気にならない。個人的には、独特のビートを奏でる3気筒エンジンの不利は感じなかった。遮音ではないガラスに囲まれる3列目だと、さすがに後ろから侵入する3気筒の排気音は耳に届いて1列目や2列目ほど静かではないが、かといって不快というほどでもない。

「e-4ORCE」は前後のトルク配分を自在にコントロールし、加減速時にボディーをフラットに保つ。「スムースストップ」機能も備わっており、ドライバーはブレーキを踏み込んでいるだけで、停止直前にブレーキを軽く抜いたようなきれいな止まり方ができる。

山道を軽々と走る

今回の試乗会は高速と山道を効率よく周遊できる東名高速・御殿場インター付近を拠点におこなわれた。せっかくなので、新型エルグランドに似合っているとはいいがたいタイトな峠道を走ってみたが、試乗の舞台にあえてここが選ばれた理由がわかった気がした。

新型エルグランドは、パワートレインや装備内容を合わせたアルファード(の「ハイブリッドZ」のE-Four)と比較すると、車重は約200kgも重いのだが、細かいつづら折れでもまったく持てあますことがないのには感心した。アルヴェルにはない電子制御ダンパーに加えて、純電動で緻密にトルク配分するe-4ORCEが真価を発揮しており、アクセルを適度に踏み続けるかぎり、安定した弱アンダー姿勢をくずさず、しかし、タイトコーナーもスルリとクリアしていく。

新型エルグランドのe-POWERは瞬間的には500N・mというシステム最大トルクを発生するそうで、上り坂でもスポーツカーはだし……とはいわないが、少なくとも1~2人乗車では歯がゆさも感じなかった。とにもかくにも、2.5t近い巨体が1.5リッターエンジンで、けわしい箱根の山道でも涼しい顔で軽々と走るのだ。少なくとも今回の試乗でいうと、新型エルグランドの特等席は2列目より運転席だった。

競合するグレード同士だとアルヴェルより少し高めの価格設定やバリエーションの少なさ、2列目の乗り心地などに再考と熟成の余地はあるものの、内外装に和風テイストを巧妙に入れ込んだデザイナーの心意気、そして静粛性とハンドリングにおいては、個人的にはアルヴェルよりも新型エルグランドに軍配を上げたい。ともあれ、「市中にあふれすぎているあのミニバンだけはイヤ!!」とあらがっていた向きには、新型エルグランドはまさに救世主。冒頭のとおり、これが台数でトヨタを追い越すことはおそらくないだろうが、ここであえて日産を選ぶような硬骨の士には、そのほうが愛着と親近感もわくというものだ?

(文=佐野弘宗/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)

フロントがストラット、リアがマルチリンクの足まわりには電子制御式ダンパーの「インテリジェントダイナミックサスペンション」を装備する。

テスト車のデータ

日産エルグランドG e-4ORCE

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4995×1895×1970mm
ホイールベース:3000mm
車重:2440kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.5リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:140PS(103kW)/5000rpm
エンジン最大トルク:228N・m(23.2kgf・m)/3600rpm
フロントモーター最高出力:205PS(151kW)/4400-8500rpm
フロントモーター最大トルク:330N・m(33.7kgf・m)/0-4300rpm
リアモーター最高出力:136PS(100kW)/5500-1万0900rpm
リアモーター最大トルク:195N・m(19.9kgf・m)/0-3000rpm
タイヤ:(前)235/60R18 103H/(後)235/60R18 103H(ヨコハマ・アドバンV61)
燃費:16.8km/リッター(WLTCモード)
価格:757万9000円/テスト車:916万2750円
オプション装備:ボディーカラー<至極 -シゴク->(7万5900円)/IRカット&スーパーUVカット高遮音ガラス<プレミアム仕様、フロント、フロントドア、フロントクオーター>+IRカット&スーパーUVカット高遮音プライバシーガラス<プレミアム仕様、リアドア>+ステアリングスイッチ<プロパイロット2.0>+ヘッドアップディスプレイ<カラー、プロパイロット2.0情報表示>+BOSEプレミアムサウンドシステム<22スピーカー、3Dサラウンドサウンド、オーディオゾーンコントロール、通話音ゾーンコントロール>+ダブルシャークフィンアンテナ+プロパイロット2.0+プロパイロットリモートパーキング(73万2600円)/ツインガラスルーフ<電動チルト&スライド、UVカットプライバシーガラス>(15万4000円)/クリアビューパッケージ<リアLEDフォグランプ[中央]、ワイパーデアイサー>(3万3000円)/シートバックパーソナルリアモニター取り付けパッケージ(1万6500円) ※以下、販売店オプション ウィンドウはっ水12カ月<フロントウィンドウ+フロントドアガラスはっ水処理>(1万4850円)/後席専用モニター<HDMI、NissanCONNECTインフォテインメントシステム搭載車用、ツインサンルーフ搭載車用>(17万6000円)/シートバックパーソナルリアモニター(26万1000円)/フロアカーペットセット<エクセレント>(11万9900円)

テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:3300km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

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《webCG》

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