ローダウンしたら「アーム」も見直すべき? サスペンションアーム交換で走りが変わる理由~カスタムHOW TO~

ローダウンしたら「アーム」も見直すべき? サスペンションアーム交換で走りが変わる理由~カスタムHOW TO~
ローダウンしたら「アーム」も見直すべき? サスペンションアーム交換で走りが変わる理由~カスタムHOW TO~全 6 枚

サスペンションアーム交換は足回りのリフレッシュだけでなく、アライメントやサスペンションの動きを最適化できるチューニングだ。ローダウン時の弊害を補正したり、サーキット走行に適したセッティングを狙ったりと効果は幅広い。

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◆サスペンションアーム交換でキャンバーやアライメントを最適化

サスペンションアームの役割は車体とタイヤをつなぎ、サスペンションが上下動した際のタイヤの軌跡や位置関係をコントロールすること。純正アームは標準車高を基準に適切なキャンバー変化やサスペンションジオメトリーになるよう設計されているが、大幅に車高を下げるとそのバランスが変化することがある。

代表的なのがキャンバー角の変化だ。車種やサスペンション形式にもよるが、ローダウンによってネガティブキャンバーが強くなりすぎるケースがある。そこで長さの異なるアームや調整式サスペンションアームを装着し、キャンバーやトーなどを適正な範囲へ調整するチューニングが行われる。

調整式の社外アームへ交換する大きな目的はアライメントの調整範囲を広げ、タイヤの接地状態を狙った方向へ整えることにある。

純正サスペンションではアライメント調整ができない部分も多く、調整機構が備わっていても偏心カムなどによって調整範囲が限られていることがある。そこで調整式アームを導入すれば、純正では設定できない範囲までキャンバーやトーなどを調整できる場合がある。

例えばマルチリンク式サスペンションでアッパーアームの長さを変更できれば、サーキット走行時にネガティブキャンバーを増やしてコーナリング中の外側タイヤの接地状態を最適化するといったセッティングが可能になる。

逆にローダウンによってキャンバーが付きすぎた場合にはアーム長を調整し、キャンバーを起こす方向へ補正することもできる。極端なネガティブキャンバーはタイヤの偏摩耗を招くだけでなく、直進時の接地面積や制動時の安定性に影響する可能性もあるため、見た目だけでなく用途に合わせた数値に設定することが重要だ。

またアーム交換後はキャンバーだけを見れば良いわけではない。ひとつのアーム位置を変えることでトーやキャスターなど別のアライメント値にも影響する場合があるため、装着後には4輪アライメント測定を行い全体のバランスを確認したい。

◆ゴムブッシュからピロボールへ交換するとハンドリングはどう変わる?

サスペンションアームを交換するもうひとつのメリットが、アームとボディやナックルをつなぐブッシュの特性を変更できることだ。

純正車の多くにはゴムブッシュが使われている。ゴムを適度にたわませることで路面から伝わる振動や衝撃、騒音を吸収できるため、乗り心地や静粛性を確保するうえで重要な役割を果たしている。

一方で強い横Gや加減速による大きな荷重が加わるとゴムブッシュが変形し、サスペンションアームの位置がわずかに動く。その結果として走行中のキャンバーやトーが変化することがある。

そこでゴムブッシュを強化ゴムやウレタンブッシュ、金属製のピロボールなどへ変更する方法がある。ブッシュの変形を抑えることで荷重が掛かった際のアライメント変化を少なくし、ステアリング操作に対してよりダイレクトな反応を得やすくなる。

特にピロボールはゴムのように大きくたわまないため、サスペンションの動きを正確に伝えやすい。STIのラテラルリンクセットでもラバーブッシュをピロボールブッシュへ変更することで、ストローク時のフリクション低減やキャンバー剛性の向上、よりリニアなサスペンション特性を狙っている。

◆フルピロは高性能だが異音や摩耗などのデメリットもある

レーシングカーではサスペンションの可動部分にピロボールを多用する「フルピロ」と呼ばれる仕様も珍しくない。ゴムブッシュのたわみを極力排除することで、ドライバーの操作やタイヤからの入力に対してサスペンションをより正確に動かせるからだ。

ただしピロボール化にはデメリットもある。ゴムブッシュに比べて路面からの振動や音を車体へ伝えやすくなり、摩耗すればガタや異音が発生する可能性もある。競技車両では定期的な点検や交換を前提とし、走行後にピロボール周辺の砂や汚れを除去するなど細かなメンテナンスが行われることもある。

そのためストリート主体のクルマなら、すべてをピロボール化する必要はない。純正ゴムブッシュの快適性を残しつつ必要な部分だけを強化ゴムやウレタンブッシュへ変更したり、効果の大きい部分だけをピロボール化したりする方法もある。

レスポンスだけを追求するのではなく、異音や振動、耐久性、メンテナンス性まで含めて用途に合った仕様を選ぶことが重要だ。

◆サスペンションアームの剛性アップで走行中の変形を抑える

サスペンションアームそのものの剛性を高めるチューニングもある。純正のプレス鋼板製アームから高剛性なアルミ鍛造製アームなどへ交換したり、純正形状をベースに補強を加えたアームを採用したりする方法だ。

コーナリングやブレーキング時にはサスペンションアームにも大きな荷重が加わる。アームやブッシュが変形すると設定したアライメント値から一時的にズレることがあるため、剛性を高めることで走行中のジオメトリー変化を抑えやすくなる。

特にハイグリップタイヤを装着したサーキット走行ではサスペンションに加わる荷重も大きい。そのためアームやブッシュの剛性アップによってステアリング操作に対する反応が明確になり、よりダイレクトなハンドリングを狙える。

ただし単純に硬ければ良いわけではない。剛性を高めれば入力がボディ側へ伝わりやすくなるほか、ピロボールや高剛性ブッシュとの組み合わせによっては快適性が低下する。使用環境に合わせて全体のバランスを取る必要がある。

◆2026年10月から改造自動車届出制度が変更。サスペンションアーム交換の車検はどうなる?

サスペンションアームはクルマの走行安全性に関わる重要部品だけに、交換する際には車検や改造自動車としての取り扱いも確認しておきたい。

これまでは改造内容によって新規検査や構造等変更検査などに先立ち、改造内容を示す書類による事前審査が必要になるケースがあった。サスペンションアーム交換を考えるユーザーにとって、ここが導入時のハードルになることもあった。

この制度が2026年10月1日から見直される。自動車技術総合機構によると、同一型式内に設定されている装置や一般に流通している自動車部品を使った改造のうち一定の条件を満たすものについては、改造自動車の届出対象から除外される。従来の「事前書面審査+現車審査」から「現車審査のみ」へ移行する仕組みだ。

対象となる一般流通部品については、乗車定員9人以下の乗用車または車両総重量3.5トン以下の貨物車で、自動車や自動車部品の製造事業者が製作した部品を取付方法などを変更せず使用する場合など条件が定められている。つまり2026年10月以降なら、どんな社外サスペンションアームでも無条件で書類が不要になるわけではない点には注意したい。

また事前届出の対象外となっても、保安基準への適合が不要になるわけではない。サスペンションやタイヤが安全に作動することはもちろん、最低地上高やタイヤの突出など関連する部分も含めて保安基準に適合している必要がある。

社外サスペンションアームを導入する際には、部品メーカーや取り付けショップに車検対応の可否を確認し、必要であれば管轄する検査機関へ事前に確認しておくのが確実だ。

◆ストリートならメーカー系サスペンションパーツも有力な選択肢

大幅なアライメント調整を必要とせず、サスペンションの動きやハンドリングを改善したいのであれば、自動車メーカー系のパーツブランドが用意するサスペンションパーツも選択肢になる。

例えばSTIでは純正形状を基本としながら、ラテラルリンク内側のラバーブッシュをピロボールブッシュへ変更したラテラルリンクセットを用意している。フリクションを減らしてキャンバー剛性を高めることで、シャープなハンドリングとリニアなサスペンション特性を狙ったパーツだ。なおSTIも装着時にはアライメント作業が必要としている。

調整式アームのようにアライメント調整範囲を大幅に広げることが目的ではないが、純正サスペンションの基本設計を生かしながら動きを高精度化できるのが魅力だ。

サスペンションアーム交換は車高を下げたクルマのアライメント補正から、サーキットでのセッティング、ブッシュやアームの剛性アップまで目的はさまざま。見た目だけでキャンバー角を決めるのではなく、タイヤの接地性や耐久性、快適性、車検への適合まで含めてトータルで考えることが、効果的な足回りチューニングにつながる。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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