物流のAI革命「ロジスティクス4.0」の先にある商用車の新ビジネス…ローランド・ベルガー 小野塚征志氏[インタビュー]

物流のAI革命「ロジスティクス4.0」の先にある商用車の新ビジネス…ローランド・ベルガー 小野塚征志氏[インタビュー]
物流のAI革命「ロジスティクス4.0」の先にある商用車の新ビジネス…ローランド・ベルガー 小野塚征志氏[インタビュー]全 5 枚

レスポンスセミナー「AIで進化する2030年の物流 ~「ロジスティクス4.0」の先に広がる新たな事業機会~」(講師:株式会社ローランド・ベルガー シニアパートナー 小野塚征志氏)では、ロジスティクス4.0の現状とAIでの進化や変化によって創出される新たなビジネスを紹介する。

本稿では、セミナーに先立ち、自動運転トラック、ドローンやAGV/AMRの進化と課題を自動車業界の視点でも整理した。

Logistics 4.0とは何か――物流の進化と「てまなく化」「つながる化」

物流の歴史を振り返ると、大きく4段階のイノベーションがある。

AIで進化する2030年の物流 ~「ロジスティクス4.0」の先に広がる新たな事業機会 セミナー資料

まずは輸送の機械化である。20世紀に入り、トラックや鉄道による陸上輸送の高速化・大容量化が進み、海上でも汽船・機船の普及によって大量輸送が可能になった(ロジスティクス1.0)。次に来たのは、1950~60年代を中心とする「荷役の自動化」だ。フォークリフトや自動倉庫、コンテナの普及によって、荷物を積み替える作業そのものが機械化され、海上と陸上を一貫して輸送できるようになった(ロジスティクス2.0)。

1980~90年代に入ると「管理・処理のシステム化」が進展した。WMSやTMSなどの物流管理システムが導入され、NACCSなどによって通関や各種手続きも電子化された(ロジスティクス3.0)。つまり、1.0が「運ぶ」、2.0が「積み替える」、3.0が「情報を管理する」という変革だったと整理できる。

そして現在進んでいるのがロジスティクス4.0である。AIやロボット、自動運転などによって、これまで人が担ってきた「運ぶ」「保管する」「梱包する」「手配する」といった基本オペレーションから人の介在を大幅に減らし、機械やシステムが物流を動かす状態を目指す。そのため、物流を装置産業化するという捉え方も存在する。

物流進化のキーワード「てまなく化」と「つながる化」

小野塚氏は、その変化を象徴するキーワードを「てまなく化」と「つながる化」の2つに集約する。「てまなく化」は、Physical AIによって人の操作や判断を必要とする作業を機械に置き換えることだ。自動運転トラック、自動運航船、ドローン、物流ロボットなどがその代表例であり、人員を減らすだけでなく、経験・技能・体力への依存を減らし、力仕事や長時間労働をなくすことにもつながる。

AIで進化する2030年の物流 ~「ロジスティクス4.0」の先に広がる新たな事業機会 セミナー資料

一方、「つながる化」はAI Orchestrationによって、企業や業界の垣根を越えて物流機能と情報をつなげることを意味する。需要予測、物流リソースのマッチング、リスク管理などをAIで連携させることで、状況に応じて委託先の物流会社や輸送ルート、輸送手段を柔軟に組み替えられるようになる。

AIで進化する2030年の物流 ~「ロジスティクス4.0」の先に広がる新たな事業機会 セミナー資料

つまりロジスティクス4.0は、「人を機械に置き換える」だけの話ではない。物流の現場を自動化すると同時に、企業や業界をデータでつなぎ、物流全体をより柔軟かつ効率的に動かすことで、物流を労働集約型のサービスから、機械・システム・データを基盤としたものに変えていく。これが、物流を装置産業へ変えていくといわれる所以である。

どんな変化が起き、どんな事例があるのか?

「てまなく化」では、人が担ってきた作業をPhysical AIが代替することで、必要人員の削減だけでなく、経験や技能、体力に依存していた仕事を「誰でもできる」ものへ変えていく可能性がある。

セミナーでは、各種の事例とともに具体的にどのような取り組み、業務実装があるのかを示す。たとえばT2による自動運転トラックによる幹線輸送。ウォルマートやアマゾン、日本郵便によるドローン配送の例。物流センターで実用化されているAMRやピッキングロボットなどだ。これらは、「てまなく化」の事例として、国内外でも多くの事例がみられる領域だ。

一方「つながる化」では、MCD3の需要予測・自動受発注・共同配送、Inforの調達から納品までの統合管理、Fictivのデジタルファブリケーション機器と需要のマッチング、Everstream Analyticsの物流リスクの検知・対応などがあるという。

てまなく化は、既存の産業ロボットやAI技術を融合するもので、AI+FAの延長で考えられるものだが、「つながる化」はロジスティクスの上流オペレーションまでをデジタル化・自動化するものとして広がっている。

AIは単に個別作業を効率化するだけではなく、需要・供給・輸送・リスクなどの情報をつなぎ、物流のしくみを変える。小野塚氏が強調するのは、こうした技術によって、従来「熟練者だからできる」とされてきた業務も、基本的なオペレーションであればAIが担えるようになるという。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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