フォルクスワーゲン(VW)が、世界的なベストセラーSUV『ティグアン』の名を冠した新型EV『ID.ティグアン』を投入する。すでにカモフラージュされたプロトタイプも捉えられており、その姿をもとに市販型のエクステリアを予想した。
◆現行車の単なるEV化ではない
ID.ティグアンは、単純に現行ティグアンをEV化したモデルではない。現在の電動SUV『ID.4』とクーペSUV『ID.5』の後継を担う、新世代の電動SUVとして開発されている。
VWは2026年9月28日、ID.ティグアンの車名を正式発表した。10月上旬に世界初公開し、2027年初頭から市場投入する予定であることを明らかにした。
いっぽう、現在販売されている第3世代ティグアンが姿を消すわけではない。ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドなどを搭載するティグアンと、BEVのID.ティグアンを並行して展開する。
◆VWのEV車名戦略が転換、ティグアンの名を継承
これはVWが進めているEVの命名方針とも関係している。同社はこれまで『ID.3』、『ID.4』など、数字を使った車名でEVを展開してきた。しかし今後は『ID.ポロ』、『ID.クロス』のように、長年使ってきた既存車の名称をEVにも採用する方向へ転換した。
ティグアンは2007年に初代が登場して以来、累計生産台数830万台以上に達するVWの主力SUVだ。現在ではVWブランドだけでなく、VWグループ全体でも世界販売をけん引するモデルとなっている。では、その名前を受け継ぐ初のEVは、どのような姿になるのか。
VW ティグアンEV のプロトタイプ
◆ID.ティグアンのデザインを予想
捉えられたプロトタイプを見ると、ボディは現行ID.4の流れを感じさせるいっぽう、細部のデザインは大幅に刷新されていた。
今回制作された予想CGでは、フロントに横方向へ大きく広がるブラックパネルを配置し、その上部に細いLEDライトを組み込んだ。ヘッドライトは薄型となり、ボンネットとの境界部分まで連続するような、シャープな表情だ。
ボディサイドは現行ティグアンより滑らかな面構成としながら、一般的なドアハンドルを残す。ドア下部には太いモールを配置し、フロントバンパーへつながるデザインによって、SUVらしい力強さも演出した。
リアも大きく変わるだろう。左右のテールライトをブラックパネルでつなぎ、車幅を強調するデザインとなる見込みだ。こうしたデザインには、新世代EVのID.ポロなどで示された最新のVWデザインとの共通性もある。
VWもID.ティグアンについて「完全に新しいデザイン」を採用し、ひとクラス上のモデルを思わせる存在感を持たせるとしている。
VW ティグアンEV の予想CG◆航続や充電性能の向上にも期待
パワートレインの詳細は、現時点では公表されていない。次世代版のMEB系プラットフォームをベースに、ID.4より大容量のバッテリーを搭載する可能性が伝えられている。
参考までに、ID.4では市場によって77kWhのバッテリーを搭載し、後輪駆動モデルには最高出力286psのモーターを採用。高性能仕様では前後2モーターによる4WDも設定されてきた。
ID.ティグアンでは、航続距離や充電性能の向上に加え、使い勝手も大きく見直されるはずだ。特に注目されるのが操作系だろう。近年のVW車で進められてきたタッチ操作重視の設計から、物理スイッチを重視した操作系へ戻す方向性も伝えられている。
ID.4とID.5は2021年以降、合わせて95万台以上が販売された。決して少ない台数ではない。それでも後継車に『ID.6』のような新しい名称ではなく、世界的に知名度の高い『ティグアン』を選んだところが、VWのEV戦略の変化かもしれない。
内燃機関やハイブリッドのティグアンと、完全電動のID.ティグアン。同じ名前を持つ2台のSUVを並行販売する新たな展開が、2027年から始まる。




