村田製作所は、6Gでの活用が期待される100GHz超の高周波帯「D-band(110~170GHz)」に対応したアンテナモジュールを開発したと発表した。
通信評価の結果、135GHz帯での無線通信動作と最大8GHzの帯域幅での信号伝送、および送受信双方の2次元ビーム制御を確認した。LTCC(低温同時焼成セラミックス)を活用したアンテナモジュールとして、D-band対応と送受信双方の2次元ビーム制御を両立したのは世界初の成果だという。
■開発の背景
フィジカルAIやデジタルツインなど、現実世界から得られる膨大なデータをリアルタイムに収集・解析・活用する社会の実現が期待されており、高速・大容量通信へのニーズが高まっている。
現在の4Gや5Gでは主に数GHz帯から28GHz帯までの周波数が使われているが、これらの周波数帯はすでに放送や衛星通信など多くの無線システムで利用されており、新たに広い帯域幅を確保することは難しい状況だ。
次世代通信システム「6G」では、これまで移動体通信での利用が限定的だった100GHz超の高周波帯を活用し、数GHz規模の帯域幅を確保することが期待されている。一方で、周波数が高くなるほど電波の波長は短くなるため、アンテナや高周波回路を微細に設計・実装する必要があり、高い通信性能と小型化・実装性を両立することが課題となっていた。
■開発の詳細
村田製作所は、先端半導体技術の研究開発機関のimec(ベルギー・ルーヴェン)との共同研究により、同社独自のLTCC基板技術を核にこのアンテナモジュールを開発した。
同社は材料から製品までを一貫して自社で手掛けており、今回はLTCC基板の材料を最適化することで低誘電率・低誘電正接の特性を実現し、100GHz超の高周波帯でも損失を抑えた信号伝送を可能にした。
さらに、imecが開発したD-band対応のビームフォーミングICをLTCC基板に組み込み、アンテナやRF配線などを微細かつ高密度に一体設計・実装することで、高い通信性能と小型化・実装性を両立した。
■今後の展開
今回の成果は通信領域にとどまらず、サブテラヘルツ(sub-THz)帯を用いたレーダー・センシングや、通信とセンシングを統合するISAC(Integrated Sensing and Communication)への応用も期待される。
同社は量産実績のあるLTCC製造プロセスを基盤に実用化・量産を見据えた技術開発を進め、2030年以降の市場投入を目指すとしている。



