田中貴金属工業は、2026年10月20日(火)から22日(木)まで、ドイツ・ハンブルクのハンブルク・メッセで開催される「Hydrogen Technology World Expo 2026」(ブース番号:Hall B7、Booth 7J54)に初出展する。
同展示会では、水素の製造・精製・利用および貴金属の循環利用に関する技術を紹介する。
■水素技術に不可欠な貴金属
水素は世界的な脱炭素化の取り組みにおいて重要な役割を担っている。水素関連技術には白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)といった貴金属が不可欠であり、燃料電池や水電解用の電極触媒、改質触媒・変成触媒・PROX触媒、酸化触媒などに使用されている。また、Pdは水素の選択的な分離にも用いられる。
田中貴金属工業は、材料開発技術と貴金属の回収・精製技術を提供することで、貴金属資源の循環利用に貢献する。40年以上にわたる燃料電池用触媒の開発で培った技術を基盤に、高い触媒開発力に加え、大規模な生産能力と安定した品質を強みとしている。
■水素のバリューチェーンを支える主な展示技術
【燃料電池用電極触媒】
1985年から固体高分子形燃料電池(PEFC)用電極触媒を開発しており、現在では同分野で世界トップクラスの供給実績を持つ。高活性・高耐久な触媒により、燃料電池の性能向上と長寿命化を支えている。
【水電解用電極触媒】
白金系のカソード触媒が水素発生反応(HER)を、Ir系のアノード触媒が酸素発生反応(OER)を促進する。高比表面積化により高い活性を実現するとともに、特に希少なイリジウムの使用量削減を目指している。
【貴金属めっき電極】
固体高分子電解質膜に使用される給電板をはじめ、さまざまな形状の部品に対して基材加工および貴金属めっき電極を提供する。めっきの薄膜化・部分めっき・再めっきなどの技術により、貴金属の使用量削減が可能だ。
【水素透過膜】
Pdは水素を選択的に透過する唯一の金属であり、他のガスから水素を分離できる。超薄膜加工技術と高度な洗浄技術を組み合わせ、HPM-L111をはじめとするPd水素透過膜を製造している。約100℃の作動温度でも水素の精製が可能だ。
【改質触媒・変成触媒・PROX触媒・酸化触媒】
RuおよびRh系の水蒸気改質触媒は天然ガスなどの炭化水素と水蒸気を反応させ、効率的に水素を製造する。変成触媒は一酸化炭素(CO)と水蒸気を二酸化炭素(CO2)と水素(H2)に変換して水素収率を向上させ、PROX触媒は残留するCOを10ppm以下まで低減してPEFC向けの高純度水素を生成する。酸化触媒は固体酸化物形燃料電池(SOFC)などの排ガス処理に使用され、システム全体の効率向上にも寄与する。
【貴金属リサイクル】
水素関連用途で使用された貴金属を回収・精製し、再び製造工程で使用することで、貴金属資源の循環利用と安定供給を実現する。
田中貴金属は1885年(明治18年)の創業以来、貴金属を中心とした事業を展開してきた。2025年度(2025年12月期)の連結売上高は1兆978億円、従業員数は5778人だ。




