【トヨタMR-Sプレス発表会速報 Vol.5】「MR-Sのデザインはショーカーと変わった?」デザイナー永津直樹氏インタビュー

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トヨタの新型オープンスポーツと名前が同じで、形も良く似たコンセプトカーが2年前の東京モーターショーに出展されていたのを覚えておいでだろうか。一見すると2台は全く同じに見えるが、そのうち全く別のデザインに見えてくる。デザイナーに話を聞いたところ、開発途中、あるいは先行開発のモデルを前回のショーに出したのではないことがわかった。


エクステリアの初期スケッチと永津デザイナー(右)



エクステリアのキースケッチ

デザインをまとめたのは第2デザイン部、第22デザイン室の永津直樹・担当員。永津はデザインのねらいを「古典的なFRオープンカーのシルエットとは異なる、21世紀のスポーツカーだ」と述べる。タイヤが車体四隅に配され、コンパクトな外寸と凝縮感を実現している。カウルを前進させたのも現代ふうだ。歴代のMR-2、あるいはS800、パブリカ・コンバーティブルなどは具体的なスタイリング開発では意識されなかったという。

東京モーターショーにMR-Sコンセプトが出展された時に、実は生産型試作車がもう完成していたという。「ショーカーはコンセプトをより強調して、まず人々にその新型車のコンセプトを提案したもの」と永津は解説する。コンセプトカーのデザインは東京デザイン部が担当した。内田邦博・東京デザイン部長(当時)は「量産化するならあちらこちら形を変えたい」といっていたが、その時点で変更というか2車種の差異は確定していたのだ。

量産型はコンセプトカーと比べてリア・オーバーハングが短くなるいっぽうフロント・オーバーハングが延長され、よりスマートになった。細かいところではソフトトップが反転二つ折りからZ字折りになって、たたんだ際の見栄えが良くなりカバーも省略できた。

インテリア・スケッチ

インテリア・デザインは、実際の生産を担当するセントラル自動車のデザイン室がトヨタと協力して開発した。リーダーはセントラルの長塚周二・担当員。インテリアでうれしいのは、ショーカーのラックタイプのセンター・コンソールが量産型でも実現したこと。「クルマが主人公ではない、乗る人が主人公というコンセプトが具体的に現われた箇所だ。ユーザーが好きにアレンジしてほしい」とは長塚デザイナーからのメッセージ。

もともとここには柱が2本通っている。それを巧みにモチーフとして生かしたのだ。そしてこのパイプがインテリア全体のモチーフとなっている。ドアハンドル、ダッシュボード、シートの“縁取り”等がそうだ。「それだけだと単調になるので、ダッシュボード上面にシボを入れたり、ファブリックのテクスチャーを変えたりしてアクセントを付けた」と長塚は解説する。

「最初に見てショーカーと同じと感じて、じっくり見て違うクルマだと分かっていただければ、我々のねらいが達成されたわけでうれしい」と永津デザイナーは語る。

《高木啓》

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