【東京ショーD視点 Vol. 8】FCX、真面目なホンダ見せます

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短いフロント・オーバーハング、長いリア・オーバーハング、奇妙なプロポーションを見せるFCXは燃料電池(FC)試験車(X)だ。「意図的に奇妙にした」と語るのはエクステリア担当の名倉隆アシスタント・チーフデザイナー(和光研究所)。FC技術を目に見えるようにしたのだという。

名倉は解説する。「従来の内燃機関自動車の基準からすれば奇妙だが、FCならではのデザインだ。燃料電池本体はすべて床下に収まり、原動機(モーター)まわりに付属機器がないのでノーズが短くなる。クルマの前に立ってウィンドシールドに手が届くぐらいだ。軽自動車でも珍しいのではないか」

このプロポーションだと空力もよさそうだ。「その通り」と名倉。「実測値CD=0.28というのは4ドア・セダンでは最良レベルだ。ただ今回は燃料電池の方がアピールポイントなので、あえてそれをうたっていない。おなじ理由で、スタイリングで人の目を引くようなギミックはいっさいない。燃料電池が主役だ」

インテリア・デザイン開発も燃料電池がスタート地点だった。インテリア担当の菅原琢磨アシスタント・チーフデザイナー(和光研究所)は「燃料電池を床下に搭載したので床がフラットになり、実用空間が広くなった。そのことを生かしたデザインにした。たとえばシートをイタリア家具ふうのデザインにして、ゆったりとした室内空間を実現した」という。

そして“フラット”感覚がインテリア全体のデザイン・チーフになっている。菅原は次のように説明する。「インパネには平面ディスプレイのデジタル・イルミネーションパネルを用い、その薄さを表現するためにダッシュボードから分離させた形になっている。ハイテクを多用するとデザインは冷たい感じになりがちなので、天然素材を使用して暖かい感じになるようにした。また天然素材は高級感を演出する素材としてよく使われるが、リサイクル可能なアルミニウムを素材に用いて、新しい高級車デザインに挑戦している」


名倉(左)と菅原の両アシスタント・チーフデザイナー

ふたたび名倉はいう。「今回のホンダのショーカーひとつに“ファンカー”があり、そのいっぽうで、真面目に環境問題などにも取り組んでいるという企業姿勢を表すのがFCXだ」

《高木啓》

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