【IMTS試乗レポート Vol. 1】カルガモ・バスに見るトヨタの21世紀

自動車 テクノロジー ITS
トヨタ自動車はITS技術開発の一環として、研究・開発をおこなってきたIMTS(Intelligent Multimode Transit System)の専用テストコースを東富士研究所内に建設し、走行実験を開始。10月28日には、このテストの模様が報道関係者に公開された。

IMTS は、専用道路を複数台の専用車両が隊列を組んで自動走行し、一般道では手動に切り替えて運転するこができる。これにより、鉄道でいう乗り換えも必要なく、かつ必要な交通需要に応じたフレキシブルな運行が可能になる。


IMTS車両には、新開発のCNG(圧縮天然ガス)エンジンを搭載。
IMTSが実用化されるであろう2010年前後の環境状況をすでに見据えている。

IMTSの研究開発にあたって情報通信担当三吉暹専務は、「これからは社会資本整備や交通環境に目向けなければならない。トヨタは今後、これらのウエイトをあげ全力で取り組む」とし「ITSを知らない人はいまや時代遅れと言われてもしかたない。世界の競争に勝ち残るためにも“情報性能”のアップが必要だ」と説明する。


左からITS開発部長長・尾哲氏、情報通信担当専務三吉暹氏

ITSはクルマ側からのアプローチのみならず、道路側のインフラとが不可分の関係にある。例えば、トヨタが今年(99年)7月から豊田市本社地区で取り組み、近く、多摩ニュータウンでも実験が始まる。EVコミュータシステム“Crayon”。EVコミュータ“E-COM”の共同利用システムだが、専用充電スタンドや配車管理システムなど相当なインフラ整備が不可欠である。

そしてETC(ノンストップ自動料金収受システム)。今年(99年9月)に、トヨタ東名高速道路ETC設備工事を受注しているが、クルマ側の車載システムのみならず、道路側のインフラが要されることを理解できる好例といえる。

この流れを踏まえてIMTSプロジェクトをながめるとトヨタの次世紀のビジョンが見えてくる。そう、トヨタは単なる自動車メーカーというステージにふみとどまらず、道路交通インフラを含めた交通社会全体を担っていこうという新たな野望だ。


自動追従システムによるカルガモ走行

その野望を実現する重要な通過点となるだろうIMTSの実用化について、長尾哲ITS企画部長は「路線の規格化から機種決定と、『10年仕事』になるのではと予想しています。仮にIMTSが導入されると決定しても、そこから用地買収を含めて最低7〜8年はかかることでしょう」とし、前出、三吉専務は「(2005年3月25日から開催予定の)愛知万博の会場間輸送に採用していただき、そこで有用性をアピールしていきたい。そうやって新交通システムとして認知されることで(行政に)認可していただくハードルも低くなる」と今後の展望を明らかにした。

《小谷洋之》

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