【F1サンマリノGP 詳細版】すべて明かす!! シュー得意の「ピットストップ作戦」

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【F1サンマリノGP 詳細版】すべて明かす!! シュー得意の「ピットストップ作戦」
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抜きどころのないストップ&ゴーサーキットのイモラサーキット。さらに、ここでは燃料積載重量がマシンに及ぼす影響が大きかった。2000年サンマリノGP決勝における序盤戦においてM. ハッキネンはトップを独走していたが、レースが終わってみればフェラーリのM. シューマッハーが勝利を手中にしていた……。いま、あらためてF1における燃料補給とピットストップ戦略について考察してみる意味がありそうだ。

84年以降は禁止されていた燃料補給が再導入されたのは94年シーズンから。これによって近代F1のレース展開は大きく変化した。まず、最初にF1で使用されている燃料の重量を考える必要がある。

現在のF1で使用できる燃料は、テクニカルレギュレーションによって「市販レース用ガソリン」という決まりがあるが(同レギュレーション導入前には、比重が極端に軽い“超軽量ガソリン”も存在した!)、その比重は1リットル=約0.75kg。つまりFIAが定める200リットルの容量を最低でも確保しなければならないF1マシンは、満タンの状態で150kg前後の燃料を抱えていることになる。

燃料は当然、走行中にどんどん消費されていく。10kg(約13リットル)の重量変化がF1マシンのラップタイム変化に及ぼす影響は、およそ1ラップ=0.25〜0.45秒と言われている。また全チームに給油機の1秒間に給油できる量が12リットルに設定されている(インターメカニック製給油機の使用が義務づけられている)。

それらを考え合わせると、いかにピットストップ戦略がレース結果を左右する要素なのかが浮かび上がってくるだろう。つまり、マシンの重量をできるだけ軽くすることによってラップタイムを縮める可能性を見いだせるのが、2ストップ(もしくは3ストップ)戦略のメリットだ。

ただしその反面で、ピットストップを行うことによるピットロードでのロスタイムも考えなければならない。これは各サーキットのレイアウトによって差があり、ピットロードの入口と出口の構造や、本コースの形状によってロスタイムが大きく変わってくる。テレビ中継では「7.6秒」や「9.9秒」などと、ピット作業におけるマシンの静止時間が表示されるが、80km/hに制限されたピットロードの通過時間とアクセル全開でホームストレートを駆け抜けるラップタイムとの差は表示されない。

また、ピット静止時間に対してマイナス約2秒が給油時間だと言われていることを考えると、1回目のピットストップを7.6秒で済ませたハッキネンは約67リットル(約50kg)を給油したと考えられ、M. シューマッハーはピットストップ9.9秒で約95リットル(約70kg)の燃料を搭載したことになる。

レース後、M. シューマッハーが「あの後の4周がポイントだった」と語ったように、44周目にハッキネンが2度目のピットに入ると、M. シューマッハーは強力にプッシュ。燃料が減って軽くなっていたマシンは彼とチームが思い描いていた以上の速いラップタイムを連発した。

やがてM. シューマッハーが2度目の給油を終えコースに復帰したときにはハッキネンに4秒近い差をつけていた。一方のハッキネンは1度目のピットストップ後にコース上の金属片を拾いマシンのフロントにダメージを受けたうえ、電気系統が原因とみられるエンジントラブルにも見舞われ、ラップタイムを稼がなければならない周回でそれがかなわなかった。

とは言え、いちばん肝心なのは、飛ばさなければならないときにしっかりコース上でタイムを稼げるドライバーの存在。そして次に重要なのは、しかるべきタイミングを自信を持ってドライバーに指示できるチームスタッフの存在だ。その2つが揃わなければピット戦術は成功しない。その点、フェラーリで作戦を立てているのはテクニカルディレクターのロス・ブラウンであり、M. シューマッハーとの鉄壁なコンビネーションが無線を通じて行われた場合、それを突き崩すのは至難の業となるわけだ。

《編集部》

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