欠陥車情報隠しが三菱自動車の業績に打撃を与えることは必至である。朝日新聞の調査によれば、同紙のアンケート調査に答えた三菱自動車ユーザーの約7割が次の買い換え時期には三菱自動車を購入しないと解答した。
販売現場ではすでに、同業各社が三菱車ユーザーをターゲットに、「三菱さんのクルマに乗っていると命がいくつあっても足りませんからね」と、他社への買い替えを促すセールス活動が活発である。トラックメーカーも、三菱自動車が強い地域をリストアップし、そこを重点に三菱自動車のトラックユーザーを狙い討ちにする作戦に出ている。「この事件で、三菱さんの指名を取り消す企業や自治体がでていますので、われわれにとっては追い風ですよ」(あるトラックメーカー幹部)。
しかも運輸省は三菱自動車の「型式指定」を当分認めない方針を打ち出しており、三菱自動車の発売が当面できないことになった。三菱自動車の業績へのダメージははかりしてない。
三菱自動車の危機が表面化すれば、ダイムラー・クライスラーは三菱自動車の持株比率を50%以上に引き上げ、三菱自動車を完全子会社にすることは充分予測できる。その後、ダイムラー・クライスラーによる三菱自動車の大リストラが始まることは予想に難しくない。三菱自動車が今後、ダイムラー・クライスラーの極東アジアの戦略拠点化していくことは間違いない。