今回の『シビック』5ドアのデザインは以前にも増してシンプルになった。モノフォルム的な全体のかたまり感がしっかりとある。新型『カローラ』も『YRV』もデザイナーの口からは“ドイツ的”という言葉がよく聞かれたが、シビックのそれはまた違ったもののようだ。エクステリアデザインのプロジェクトリーダーである小林正樹アシスタントチーフデザイナーが解説する。
「VW『ゴルフ』なんかいいクルマだと思います。しかしそれはドイツ人としての文化の中でああいう結果がでてきたわけで、我々はドイツ人になりたいわけじゃあない。日本人として、ホンダのクルマとしてこうありたい。そういうものはシビックが産まれた時からあるものなんです」と、どこかの影響を受けたというのではなく、ホンダ独自のデザインであるということを主張する。
確かに今回のシビックはシンプルだが、どこか彫刻的ともいえるズバッと切り落としたような、ドイツのものとは違ったかたまり感を受ける。「質実剛健だけじゃない、気持ち良さを表現する、ということでラインと面にはこだわりました」と小林正樹アシスタントチーフデザイナーは語る。特にリアに気持ちよく流れるルーフのラインなどは相当吟味したようだ。
「デザインのためのデザインはしない」と小林正樹アシスタントチーフデザイナーが語るように、今回のシビックは生活の中に密着した“気持ち良さ”を追求した、そんな誠実なデザインである。