『ストリーム』に搭載される2.0リットルエンジンは、ホンダの新世代エンジン第一弾として、いくつもの新機軸を採用した、力の入ったエンジンだ。
新機軸のうちまず注目すべきは、燃費とパワーを両立したという『i-VTEC』の採用だ。従来のVTECは、ある回転数を境にカム山とロッカーアームの組み合わせを切り替え、バルブのリフト量とタイミングを段階的に変更するものであったが、i-VTECでは、VTECの機能はそのままに、『VTC』という機構が追加されている。これは、カムをひねることで位相を連続的(無段階的)に変化させ、オーバーラップ(吸気/排気バルブが両方開いている状態)を制御するもの。
開発部門子会社・本田技術研究所、栃木研究所第33開発ブロックの川島文則チーフエンジニアによると、「i-VTECによって、リーンバーンの領域を広げ、かつリーンバーンの燃焼状態を安定させることができました」とのことである。
2リットルクラスでは、三菱はもちろん、トヨタや日産でも直噴エンジンを次々にラインアップしているが、なぜホンダは新世代エンジンにも直噴を使わなかったのか。「直噴も技術の一つですが、うちはi-VTECによって直噴より好燃費を実現できました。だから使わなかった、ということです」 直噴エンジンを新たに開発するより、ホンダ得意のカム制御技術をより進化させる方法を採った、ということか。直噴エンジンとの勝負が今後興味深いところだ。
そのほか、触媒の早期活性化に有効な前方吸気/後方排気レイアウトや、エアコンポンプ/ウォーターポンプ/ジェネレーター/油圧パワステの補機類を一本のベルトで駆動し、コンパクト化、効率化に貢献するサーペンタイン補機駆動システムにくわえ、エアインテークの長さを5500rpmで切り替え、吸気慣性効果を最適化する機構も採用されている。
※文中の説明に誤解を招く表現がありましたことをお詫びして訂正いたします。