『AutoWeek』誌が1年以上も前にスッパ抜いたように、量産型『マイバッハ』は、現行モデルにすでに搭載されている5.8リットル36バルブV12エンジンをツインターボでパワーアップしたエンジンを採用する。
このエンジンには4.0リットル48バルブV8コモンレール式ディーゼルエンジンのために開発された、可変ジオメトリー・ターボチャージャーや、水冷インタークーラーといった技術が流用される。
チーフエンジニアのヘルマン・ガウスは、「スーパーチャージャーよりソフトで静かな出力特性なので、ターボチャージャーを採用した」という。出力は?「充分」とガウスは笑った。シュツットガルトあたりのうわさでは、量産仕様で500PS、800Nm(81.6kgm)と言われている。ガウスはホイールベースの短い標準仕様で、『Sクラス』と同じ0-60マイル/h(96km/h)加速6.3秒以下が可能だと語っていたから、うわさは正確だ。
ただしマイバッハのオーナーの多くは、そのようなパフォーマンスでこのクルマを評価するようなことはしないだろう。メーカーでは、オーナーの大多数が広々とした後席で乗車時間のほとんどを過ごし、運転するために運転手を雇うと見ている。
最高級のロングホイール仕様は後席ポジションを個別調節でき、電子制御によってほぼ水平までバックレストが倒れる。横にならないのだったら、車両備え付けのラップトップ・コンピューターや、天井に組み込まれたビデオ会議用スクリーンを使ってビジネスに精を出してもいいし、映画を見たりDVDソフトを楽しんだり、インターネットメショッピングもできる。さらに冷蔵・温蔵両用の保温ボックス、葉巻きを保管する保湿ケースもオプションで装着できる。
マイバッハはシュツットガルト郊外、ジンデルフィンゲン工場の専用ラインで生産される。関係者は年産800台を示唆していたが、情報筋によるとその2倍にはなりそうだという。