ニュー『シーマ』のデザインはドライバーズカーであることを強く訴求している。これは、スポーティな傾向にある近年の高級車デザインと違わない。というよりも、むしろシーマは初代からオーナードライバーのクルマとして誕生したからにほかならない。その意味では原点回帰でもあるのだ。
高級車のデザイン・セオリーのひとつが、フロントグリルをヘッドランプよりも上位に配し、強い押し出しを演出する手法。これに対し、ニュー・シーマのグリルは低くく構え、スポーティさを強調している。かといって、存在感が希薄かというと、それを補い、さらに強烈な個性を与えているのが、マルチプロジェクター・キセノンヘッドランプだ。
「優れたヘッドランプ技術が開発できたので、その優秀性をアピールすることを念頭にデザインしました。7つのレンズには賛否両論ありましたけれど、デザインと性能の融合という点ではうまくいったと思います」 日産自動車のチーフデザイナー、青木護さんは語る。ヘッドランプの新技術は、デザインの大きなファクターとなったようだ。
さらにヘッドランプ以外にも、マッシブに盛り上がったボンネットフードが、控えめなグリルをバランスよく際立たせている。「鋭角的なえぐれを入れたことも、ボンネットの立体感につながっています。またフロントからサイド、リアへとボディを一周するようなモールは、全体を引き締める効果を持っています。海外モデルでは同色ですが、あえて光モノにして、パーソナルでありながら、ちょっと高級感を与えたワンポイントでもあります」