原告敗訴の判決は「Nシステム設置に御墨付きが出た!」と、警察を後押しするものになるのだろうか。
原告側代理人の松本三加弁護士は「警察庁は、表面的にはNシステムの存在に御墨付きをもらったというスタンスを取るのかも知れません。しかし、この判決に対して戦々恐々としているのは、ほかでもない警察庁ではないでしょうか。」
裁判所は判決で、『Nシステム端末のテレビカメラによって、走行車両の搭乗者の容ぼう等を撮影し、その撮影された画像が記録、保存されているとすれば、これは憲法一三条の趣旨に反することになる余地があることはいうまでもない』『Nシステムによって得られる情報が、目的や方法の如何を一切問わず収集の許される情報とはいえない』と踏み込んだ表現をしており、もし今回の判決に反して新たに目的外利用などが発覚したら、それこそ大問題になってしまいますから。
それに『500個所に分散して設置しているのは緊密に張りめぐらされているのではない』というのは裁判所がこれ以上、Nシステムを増やすなと言っているのも同じだからです。
だから警察庁にしてみたら『門前払い判決』には見えないでしょうね」と分析している。
さらに笹世弁護士も「500個所が緊密でないとしたら、何ケ所になると緊密と認定できるのかという問題提起もあります」と付け加える。
判決は、Nシステムへの御墨付きどころか、監視警察をたしなめるものになっているといえる。
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