【レポート『Nシステム裁判判決』vol.4】原告のいうとおりなら憲法違反なのだが

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【レポート『Nシステム裁判判決』vol.4】原告のいうとおりなら憲法違反なのだが
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続けて判決は「ナンバープレートを取り付けることが義務付けられており、公道を自動車が走行する際には、常にナンバープレートが外部から容易に認識し得る状態となっているのであるから、走行車両が公道上の特定の地点を一定方向に向けて通過したとの情報は、警察の公権力に対して秘匿されるべき情報とは言えない。」

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すなわち、あるナンバーのクルマがあるポイントをどちら方向に走行していったということを記録すること自体には問題がないとした。

ただしそれは無制限に許されるものではなく、「このような車両を用いた移動に関する情報が大量かつ緊密に集約されると、車両の運転者である個人の行動等を一定程度推認することの手がかりとなることは、否定できない。また、仮に、Nシステムの端末が道路上の至るところに張りめぐらされ、そこから得られる大量の情報が集積、保存されるような事態が生じれば、運転者の行動や私生活の内容を相当程度詳細に推定し得る情報となり、原告らの主張するような国民の行動に対する監視の問題すら生じ得るという点で、Nシステムによって得られる情報が、目的や方法の如何を一切問わず収集の許される情報とはいえないことも明らかである」と、かなり踏み込んだ表現がなされている。

要するにNシステムによる情報収集が緊密になると、「だれが、いつ、どの方面によく出掛ける」という行動傾向を把握することが可能であり、『もしも原告の主張が本当ならば違憲だよね』と言及しているのだ。

だが裁判所は、「Nシステムによって読み取られた走行車両のナンバーデータは、犯罪の発生から警察による事件の認知又は容疑者車両等の割出しまでに時間がかかる場合があるため、一定期間保存できるようになっているが、その後は消去される仕組みになっている」。「500個所に以上に分散されて設置されているが(中略)緊密に張り巡らされているような事実を認めるに足る証拠はない」と、肖像権侵害と同様に、“その証拠はナイ!”と原告側の主張をあっさりと退けている。

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《小谷洋之》

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