【シリーズ ランエボVIIの開発者にきく】じつは冷却系に最大の秘密が隠されている

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【シリーズ ランエボVIIの開発者にきく】じつは冷却系に最大の秘密が隠されている
【シリーズ ランエボVIIの開発者にきく】じつは冷却系に最大の秘密が隠されている 全 4 枚 拡大写真

『エボVII』では、冷却系統でもさまざまな改良がなされている。インタークーラーはコア幅が20mm広がり、フィンピッチやタンク形状も変更された。冷却用スプレーノズルも3つに増やされ、自動噴射モードも設けられた。開発裏話を、三菱自動車乗用車技術センター・エンジン実験部主任の柳澤 弘さんに訊いた。

「ボディが新設計されたので、インタークーラーの配管とりまわしを改良できたのが良かったですね。ストレート化し、短くすることが出来ました。インタークーラー自体も大型化しましたが、とくに入り口部分の容積をアップできたことのメリットは大きいですね。というのも、インタークーラーの大きさはWRCのレギュレーションで変更できませんから、最初から大きくしておく必要があるんです。それから、ここに注目して下さい」

と柳澤さんは、フロントバンパー中央部に設けられた2つのスリットを指さした。「これは、最初は空いていなかったんです。でも、せっかくインタークーラーを大きくしたのに、ここに穴がないと冷却効率がアップしない。そこで我われエンジン屋がデザイナーや他の設計部門に頼み込んで、あとから開けてもらったんです。こうした要望はコストがかかるので、普通はあまり歓迎されないんですが、がんばりました」

また、オイルクーラーの容量も拡大されている。左ヘッドライト下に収められたオイルクーラーは、フロントスポイラー左に設けられたスリットから熱気を排出するシステムになっている。インタークーラースプレーは自動化されたこともあり、タンク容量を2リットルから5リットルに拡大している。

ところで『エボVII』では、1速のギア比が低められ、5速のギア比が高められたものの、ライバル『インプレッサ』が採用した6速MTは採用されなかった。「やはり、勝つことを前提に考えると、実績のあるこれまでの5速のほうがいいと判断したんです。ただ、サーキット走行で"ストレートでふけきってしまう"という声に応じて、5速のギア比は変更したんですね。といっても、6速も入らないわけではないので、将来的にはあり得るかもしれませんが……」

やはり、『ランエボ』はあくまでも「勝つためのクルマ」なのであった。今年後半から投入されるというWRCでの闘いぶり、なかでも宿敵『インプレッサ』との対決が、いまから楽しみである。

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