【熊野学の技術詳説】『フィット』---高回転域では同時点火

自動車 ニューモデル 新型車
【熊野学の技術詳説】『フィット』---高回転域では同時点火
【熊野学の技術詳説】『フィット』---高回転域では同時点火 全 3 枚 拡大写真

低回転では吸気側の点火時期を進め、排気側の点火時期を遅らせる。これは、排気側では混合気の流速が速くて火炎伝播も速く、逆に、吸気側では混合気の流速が遅くて火炎伝播も遅いからだ。そこで、上記のように2プラグの点火時期をずらして、混合気が均等に燃えるようにする。

一方、高回転では2プラグで同時に点火する。高回転では混合気の流速は燃焼室全体で充分速く、2プラグ同時点火しても混合気は均等に燃焼するのだ。

興味深いのは高負荷中速回転で、排気側の点火時期を低回転時よりさらに遅らせることだ。これは、高負荷で急速燃焼するとコンロッドメタルの負担が限度以上になり、燃焼圧の上昇を一定レベル以下に抑える必要があるからだ。そこで、排気側の点火をさらに遅らせて、燃焼速度を一定以下に抑える。高負荷中速回転ではメタルの負担が最も大きく、この領域だけは急速燃焼によるトルクの向上より、メタルの保護を優先したわけだ。

2プラグ位相差点火では、プラグの本数と点火コイルの数が2倍になり、コントローラーも必要になる。それはコストの上昇を伴い、低価格車に相応しくないと思える。しかしホンダは、23km/リットルという世界最高水準の低燃費を達成するために必要と判断したのだ。

《》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  2. 「強烈な需要がありそう」スバルの3列シートSUV『アセント』が今、SNSで話題に
  3. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  4. 「泥が似合うグレードを!」三菱『パジェロ』がPHEVで復活!? スクープ情報にSNS沸く
  5. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る