【フランクフルトショー2001速報】史上最悪テロのなかでのモーターショー

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【フランクフルトショー2001速報】史上最悪テロのなかでのモーターショー
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事件を知ったのは日本からの電話だった。フランクフルトのプレスルームでは、だれも事件を知らなかった。

「ニューヨークが大変なことになっている。知ってるか?」

まわりにいたプレスに声をかけたが、だれも知らない。急いでCNNのウェブサイトにアクセス。すると、ニューヨークのワールドトレードセンターが燃えていた。

「こりゃ、大変だ!」

原稿を書いていたプレス陣が、つぎつぎとニュースを扱うウェブにアクセス。モーターショーの会場という、いわば外部から情報を遮断された場所が、インターネットから情報を得て、にわかに騒がしくなった。そして、この事件の話は徐々に広がり、やがて各社の展示ブースでも話題になる。

「いったい、何があったんだ!?」

フォルクスワーゲンのブースでは、天井から吊した巨大スクリーンをすべてつかってテレビを映し出した。クルマを見ていた人々がテレビにくぎ付けになった。同じころ、ミニのブースでは「いま、アメリカ合衆国の空港はすべて閉鎖になった」とアナウンスがあった。モーターショー取材に来ていたテレビ局の中継車のまわりは、アッという間に黒山の人だかり。中継車の中にあるモニターに映し出されるテレビ放送を見に、人が集まってきたのだ。

しかし、それでも事件を知らない人が大勢いた。ほとんどのブースで通常のプレス発表が行われていたため、真剣にショー取材をしているジャーナリストとフォトグラファーは事件を知らなかったのだ。夕方にはテレビ中継車が大サービスでモニターを車外に出し、プレス陣もメーカーの人々も、その特設街頭テレビにむらがる。

「モーターショーなんかやってる場合じゃない!」

そのころ、モーターショー会場のあるフランクフルト・メッセでは、展示ホールに隣接する高層ビルから全員が避難するという事態になっていた。また、この地方で一番の高層ビルであるコメルツバンク・タワーでも全員が避難。これは夜のニュースで知った。さらには、「フランクフルト証券取引所に爆弾を仕掛けた」という電話が警察にあったらしく、こちらもパニック。夕方のテレビニュースでは、「シュローダー首相がモーターショー一般公開開幕セレモニーへの出席をとりやめる」と伝えられた。ショー開幕日には必ず歴代首相が訪れるという伝統は中断になった。

そして、余談。

オートアスキー編集部・高木氏のラップトップ・コンピューターの壁紙は「ゴジラに破壊されて燃える東京」だった。アメリカの大惨事がプレスルームで話題になりはじめたころ、その壁紙を見たドイツ人が真剣な顔で「これがいまのニューヨークか!?」と聞いてきた。

「いや、これは違う」

そう言うのが精一杯だった。これはゴジラの映画のシーンで、フィクションなんだよ、ゴジラは日本で有名なモンスターなんだよ、と、説明できる状況ではなかった。

《高木啓》

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