現在のカーナビ技術は二つの流れに向かって進歩していると言えるだろう。ひとつはDVDやHDDなどの大容量メディアを使用して、VGAサイズの精細画面で地図表示を行うタイプ。もうひとつはPDAなどに地図情報を転送し、ハンドキャリーを前提としたタイプだ。昨年までのCEATECでは、後者はケーススタディモデルとしての存在でしかなかったが、今年はいくつかのモデルが市販品として登場し、来場者の注目を集めていた。
PDAとしてではなく「カーナビとしての機能を重視した」モデルがパナソニックの『モバイルデルNAVI』だ。本体のCD-ROMからPDAに実装したSDカードにデータを転送し、ナビとして利用するというもの。PHSを専用ケーブルで接続すればEメールの送受信も可能となる。将来的には『ブルートゥース』でケーブルレスを実現したいとしているが、コスト的にまだ難しいとメーカー関係者は話す。
PDAとしての機能を重視し、オプション品の装着でポータブルナビとして扱えるのが東芝の『GENiO(ジェニオ) e』だ。CFカード規格のGPSアンテナを装備し、SDカードに地図データを落とし込むことでナビとなる。OSに『Windows for Pocket PC(CE3.0)』を採用し、拡張性が高いことを自慢とするPDAのため、今後も使える技術が発展する可能性は高い。ナビはあくまでもそのうちのひとつに過ぎない。
記憶メディアとしてはCFカードサイズで1GBを実現したマイクロドライブ、PCカードサイズで5GBを実現したコンパクトなHDDもあり、容量制限は事実上存在しない。それら技術を取り入れれば簡易地図ではなく、詳細な地図の表示も可能となる。来年にはどのようなモバイルナビが市場投入されるのか、現時点では予測すらつかない。昨年までは前述の2モデルだって「夢の商品」だったのだから。