7日、盛岡市内で岩手県警のパトカーが22歳の男に盗まれるという事件が発生した。犯人の男は事件発生から1時間20分後に逮捕され、盗まれたパトカーも無事に回収されたが、犯人逮捕までには様々な経緯があったようだ。
この事件は高速道路の料金所を未払いで突破した男を職務質問しようとしたところから始まった。岩手県警には職務質問時にエンジンを切る、捜査員が最低1名は乗車したままにするといった捜査車両管理についての規定がない。通常は運転席に別の警察官が座っているか、エンジンキーを外すなどしておくのだが、この日は運転席には誰も待機しておらず、キーも付けっ放しだった。単独でパトカーに乗せられた犯人が内部からドアをロックして、外にいる捜査員を逆に締め出してしまうというケースを考えていなかったことが最大のミスだったともいえる。
結果として容疑者がパトカーを奪って逃走…という最悪の結果になったが、パトカーに無線機が搭載されているため、捜査情報が筒抜けになる恐れもあることから、緊急配備を行う司令室が捜査員に対して無線指示ができなかった。暗号文を用いた最小限のやり取りを行うものの、基本的には現場の判断と、携帯電話によるタイムラグありの情報だけで盗まれたパトカーを探すということとなり、これが犯人逮捕までの時間を要する原因となった。
岩手県警ではこれを機に捜査車両管理についての規定を作成することになり、その完成までとりあえずエンジンキーの扱いを徹底させる通達を即日交付したが、県警では「パトカーが盗まれるとは前代未聞のことであり、想定すらしていなかった」としている。