前例が無いから作るという知事の主張に逆行!? 収集車の車体広告問題

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八王子市が市の財政建て直しの一手段として、ゴミ収集車にラッピング広告を採用しようとしたことに、東京都が難色を示して計画中止を要請した問題で、その理由が「公用車への車体広告は前例が無い」といものだったことが関係者の話から明らかになった。八王子市は「前例」として、すでにラッピング広告付きゴミ収集車を導入している群馬県太田市の例を示したが「他県であるし、人口密度の違いから参考にならない」と却下されたようだ。

関係者の話によると、八王子市がゴミ収集車へラッピング広告を導入する検討を開始したのは今年初めのことだった。バスに導入された車体広告が一定の成果を上げていることを知った同市の清掃事業管理課が「市内をくまなく走り回る清掃車に導入してはどうか」と提案したのが発端だった。財政難に苦しむ市は計画を了承し、今年度に導入する収集車14台のうち、側面を白地の広告スペースとしたクルマを4台発注。夏までに受領する予定となっており、「7月ごろに導入する」という計画を東京都に打診した。

ところが東京都は「公用車両への広告貼り付けは前例がなく、バスや電車と違って住宅地の奥深くまで入るクルマへの貼り付けは認められない」と難色を示した。実は「前例がない」というのは誤りで、群馬県太田市が同様の車体広告を収集車に掲出しているという例があった。八王子市の担当者がこの事実を改めて指摘すると、都は「群馬と東京では人口の密集度が違う。東京都内で前例が無いと認可はできない」と主張し、改めて計画断念を要請したという。

東京都交通局がバスの車体広告を導入した際にも、実は前例は存在しなかった。それを石原慎太郎知事が「画期的な案」として押し切ったことから実現している。ディーゼル車への排出ガス規制など、国の主張するものとは異なる強硬な独自案を導入する際には「地方自治体には自治権があるから自治体と呼ばれるのだ」、「前例が無いから率先して作るのだろう」と主張する石原知事だが、お膝元の市の自治権は認めないということなのだろうか。なお東京都は「未決定の事案」を理由にコメントしていない。

《石田真一》

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