加害者側の態度を頑なにするのは罪の重さか、それともカネか?

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著しい速度超過のまま交差点に進入し、対向車線から右折してきたクルマに衝突したことで2名を死傷させ、業務上過失致死・致傷罪に問われている26歳の男の論告求刑公判でさいたま地検は22日、懲役2年6カ月を求刑したことを明らかにした。

この事故は1998年11月22日、埼玉県川口市の県道交差点で、対向車線から右折しようとしたクルマの側面に、115−130km/hの著しい速度超過状態で走ってきた直進車が激突し、右折していた側のクルマに乗っていた1人が即死、1人が重傷を負ったというもの。

加害者は「多少の速度超過は認めるが優先交通権はこちらにある。こちらのクルマを無視して強引に曲がったのは向こうのドライバーだ」と主張。事故当初はこの証言が通り、ドライバーは不起訴処分になっていた。

警察が加害者側を不起訴としたことで、保険会社も「被害者の責任が過大である」として保険金の支払いを保留してきた。被害者側は「事故の真実を追及し、正当な額の慰謝料を得るためには、加害者側の刑事責任を改めて問うしかない」という判断に達し、事故当初の検察判断を不服とし、さいたま検察審査会に再捜査の要請を行なっていた。

審査会は審議を重ねてきたが、昨年5月「不起訴不当」の評決を行い、これを受けてさいたま地検が再捜査していた。その結果、加害者証言どおりの状況にするためには、事故当時の速度が証言内容を上回る「115−130km/h」でないと不可能であることが判明。このため地検は昨年6月、「加害者の証言は保身のための虚偽である可能性が高い」として、在宅のまま業務上過失致死・致傷罪で起訴した。

22日の論告求刑公判で検察側は「県道の制限速度である50km/hの2倍をはるかに超えており、優先通行権は主張できない。死人に口なしとばかりに自己を擁護する虚偽の証言を続け、今になっても反省がない」として、懲役2年6カ月の実刑判決を求めた。

なお、加害者側は現時点でも「速度超過は30−40km/hだった」と主張、慰謝料の支払いを行なっていない。こうした裁判では被害者側へのケアが情状酌量の要因となるだけに、頑なな態度を取り続けるのは極めて異例ともいえる。

《石田真一》

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