今回発表されたイクリプスの新型ナビ『AVN9902HD』には、20GBのハードディスク(HDD)を2基搭載し、その総容量は40GBとなった。他社の秋冬モデルではいずれも16GBが最高容量となっており、なんと2.5倍の数値になる。
2基のHDDはそれぞれ用途が決められており、ユニット上段に納められるのが地図用、下段が音楽データ用となっている。地図は従来の線画(Kiwi準拠)のものが8GB分収められ、今回からマップマッチングも可能となった衛星写真地図「サテライトショット」(IKONOS画面)が10GB程度の容量で収められている。実は地図データの拡大がHDDを2基搭載するきっかけになったと、AVC本部・商品企画部の中井克幸さんは言う。その発端は意外なものだった。
「エンターティメント志向の強いAVNを開発するという話は2年前からありました。ところがIKONOS画面での経路案内機能を入れたいナビ開発チームと、音楽データをHDD内に収録したいオーディオチームで使用する容量の取り合いになりました。いろいろと調整を重ねたのですが、妥協案はなかなか出てきません」
「ところが昨年末あたりに開発チームの誰かが“それなら容量を倍にしちゃえばいい”みたいなことを言って、あまりに単純なことですが、これがブレイクスルーになりました」
当初は40GBのHDDを単体で搭載するという話もあったようだが、車載で使うには信頼性に欠けるため、結局は20GB容量のものを2個搭載することになった。必要なスペースはMDプレーヤーを削ることで対処。音楽を再生する際のメカニカルな騒音を極限まで減らすため、HDDナビとしては初めて流体軸受けタイプ(富士通製)を採用している。
中井さんは「HDDを機能別に分けることが正式決定し、それぞれのチームが好き勝手に開発を始めてからが早かったですね。(社内の)雰囲気も良くなりましたし」と笑うが、それぞれの技術的ワガママと、機能追求の結果として最強のAVNが出来上がったというわけだ。