「俺はやっていない」と主張した被告に無罪判決---警察の捜査は適切だったか

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今年4月、軽自動車を盗んだとして窃盗の罪に問われていた男に対して那覇地裁は13日、「問題のクルマは盗難以外の方法で入手された可能性もあり、被告を犯人とする合理的疑いに欠ける」として無罪を言い渡した。警察と検察の捜査体制を裁判所が真っ向から否定したことにもなり、今後の議論を呼びそうだ。

問題の事件は今年6月に発覚した。6月2日の未明、沖縄県名護市内の路上で不審な行動をしている59歳の男性をパトロール中の名護署員が発見。職務質問をしたところ、この男が使っていた軽自動車が4月に南風原(はえばる)町の民家から盗まれていたものだとわかった。沖縄県警はこの男を窃盗容疑で逮捕し、取り調べを進めた。

ところが取り調べの際、男は「クルマは与儀公園(那覇市)で知り合った初対面の男から27万円で購入した」という供述を繰り返し、容疑を全面否認。これは起訴後の公判でも変わることがなかった。弁護側も「被告は盗難車であることを知らずに購入した“善意の第三者”であり、盗難の罪を問うのは間違っている」と主張。警察や検察の取り調べに問題点があると指摘した。

13日の判決公判で那覇地裁の林田宗一裁判官は「被告の主調は一貫して変わらず、被告が盗難以外の方法でクルマを入手した可能性を否定する証拠もない」と指摘。その上で「被告を犯人として扱う合理的な証拠がない以上、犯人と断定することはできない」と判断し、検察側からの懲役1年2カ月の求刑に対し、無罪の判決を言い渡した。

刑事裁判の原則は“推定無罪”であるが、日本の場合は起訴された刑事裁判での有罪率が90%を超える状況にある。つまりは「裁判で被告とされた場合、90%の確率で罪から逃れることはできない」ということ。今回のように捜査当初から全面否認を繰り返していた場合でも、担当した検察官が「疑わしい」と思えば起訴され、裁きを受けることになる。そして実際には無罪判決を得ることは難しい。

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《石田真一》

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