「プラス62」とはけしからん---速度違反常習者の控訴棄却

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帰宅途中に友人のクルマと“バトル”をした際、カーブを逸脱して街路樹に激突するという事故を起こし、同乗していた19歳の少年を死亡させたとして危険運転致死罪に問われた20歳の男に対する控訴審判決公判が18日、名古屋高裁金沢支部に行われた。裁判長は一審の判決を支持し、量刑が重過ぎるという被告の控訴を棄却する判決を言い渡した。

この事故は昨年4月15日の未明に起きた。金沢市若松町の県道で、先行する友人のクルマ2台を追い越そうと150km/hまで加速したクルマがカーブを逸脱して直進。道路右側のガードレールや街路樹に激突した。この事故でクルマを運転していた当時19歳の男は助かったが、助手席に乗っていた友人は全身を強く打って即死した。運転していた少年が事故の4カ月前にも著しい速度超過で逮捕されていたことから、警察では「悪質な速度超過」の常習者として、当初の逮捕容疑の業務上過失致死を、制御不能の速度超過を理由とした危険運転致死に切り替え、送検していた。

一審の金沢地裁では、問題の事故の4カ月前に起こした速度違反事件以降、問題の少年が自分の所属するバンドの名称を62km/hオーバーを由来とする「プラス62」に変更した点などを指摘。「違反を反省することなく、それを勲章のように扱うなど事態を軽視した。運転は無謀極まりなく、暴行で死亡させたのと同等の非難を免れない」と断罪して懲役2年10カ月の実刑判決を言い渡した。少年側は「スピード違反を起因とする事故としては量刑が重すぎる」として控訴していた。

18日に名古屋高裁金沢支部で開かれた控訴審判決公判で、安江勤裁判長は「自己の速度超過を自慢するようにバンドの名称をプラス62と変更し、それ以後も恒常的にスピード違反を繰り返した。自己を満足させるための危険極まりない運転で前途ある被害者を死亡させた犯行の結果は重大」と指摘。「危険運転致死罪が傷害致死に準じた犯罪類型であることを考慮すると被告人の刑事責任は重い」と断罪して一審の判決を支持。「量刑が重い」という被告側の控訴を棄却する判決を言い渡した。

《石田真一》

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