ベンツが燃えた---インポーターとディーラーに賠償命令(額が……)

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エンジンからオイルが漏れるというリコール修理を行った際の施工ミスで車両火災が発生したとして、このクルマを所有する神奈川県内の医療法人がインポーターとディーラーを相手に1億2332万円の賠償を求めた民事訴訟で、東京地裁は28日、ディーラーの施工ミスが原因で火災が発生したと認定し、車両代金など総額1327万円の支払いを両者に命じる判決を言い渡した。

判決によると、問題の事故は2001年3月に発生している。神奈川県内の医療法人が所有するメルセデスベンツ『S600L』を、同法人の59歳理事が運転していたところ、東京都文京区内の首都高速道路でエンジンルームから突然発火した。

当時このクルマは渋滞のためノロノロ運転だったということもあり、理事はすぐに脱出して事なきを得たが、クルマはエンジンルームを焼くという被害を出した。

S600Lは2000年9月に「ステアリング・ギヤボックスのボルトが緩み、パワーステアリング・オイルが漏れて、ハンドル操作が重くなるとともに、漏れたオイルが排気管に飛散し、最悪の場合、発火に至るおそれがある」として、また2001年1月には「ECUのプログラムに不適切なものがあり、アイドリング状態での失火を検知できず、点火を停止した気筒にも燃料が供給されることから、未燃焼ガスが触媒に流入し、最悪の場合、触媒が過熱して火災に至るおそれがある」というリコールをインポーターであるダイムラー・クライスラー日本が届け出ている。

事故を起こしたクルマもヤナセ埼玉において二度のリコール修理がなされていた。医療法人側は「修繕が行われた際、修理の不備があったために火災に至ったのではないか」として、車両の買い替え費用や火災の恐怖に対する慰謝料など総額1億2332万円を求める訴えを東京地裁に起こしていた。

28日の判決で東京地裁の小島浩裁判長は「出火原因はオイル漏れによるもので、リコールによる修理の不具合が原因」と認定、ディーラーの修理ミスが存在していたことを指摘した。

また、メルセデスベンツのクルマが高い安全性をアピールして販売していることにも触れ、「欠陥により事故を起こしたという責任は製造者にも及ぶ」として、製造したメーカーとインポーターも賠償責任は免れないと判断した。

しかし、賠償金については「車両時価相当額を基準に判断すべき」とし、慰謝料も最低限の額のみ容認。インポーターとディーラーの双方に対し、総額1327万円を連帯して支払うように命じる判決を言い渡した。

《石田真一》

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