「まさかそんなことは…」珍しい事故で警察の判断

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福島県警は10日、歩道下に設置された側溝の点検作業を行っていた男性をクルマではねて死亡させたとして、65歳の男を業務上過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で書類送検したことを明らかにした。事故は今年4月に起きたが、歩道を道路と同一視するのか、側溝から顔を出すことに予見性はあったかなど、様々な議論が生じていた。

福島県警・会津高田署の調べによると、問題の事故は4月21日午前に発生している。会津本郷町川原の市道に設置された歩道で、歩道下に設置された側溝の点検作業をしていた作業員が頭を上げた際、65歳の男が運転する乗用車が通過。作業員は首の骨などを折って死亡したというもの。

男は異音に気づいて一旦停止したが、異常が感じられないため走り去ったという。事故の起きた歩道はクルマの通行が禁止されているが、男は自分の経営する商店に横付けし、荷下ろしをするために歩道をクルマで走行していたという。

警察では男をひき逃げ事件の容疑者として検挙していたが、「道路下の側溝から作業員が頭を上げるという行為に予見性があるのか」ということが争点となっていた。また、歩道はクルマが走ることを想定しておらず、死亡した作業員の側にも「歩道をクルマが通ることを予見できていたのか」という問題があり、事件をどのように扱うかで様々な議論が行われてきた。

しかし、会津高田署では「歩道に側溝のフタが置いてあり、ドライバーからも“そこで何らかの工事が行われている”という認識を行うことが難しくなく、もしかしたら人がいるのではないかという判断はできた」と結論づけ、人が出てくる予見性があったということを認めた。

また、作業員をはねた男が異音に気づいて、事故直後にクルマの様子を見ていると証言したことから、「何かに当たったという認識はあり、さらなる確認を怠ったことがひき逃げを構成した」とも判断。業務上過失致死と道交法違反容疑での立件は可能として、男を書類送検することを決めた。

《石田真一》

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