28日午後、長野県内で発生したバスジャック事件では、「外部との連絡が取れており、事件発生の一報は警察に届いている」、「犯人を興奮させてはいけない」との理由から運転手は外部への非常通報装置を使用しなかったとされる。
2000年に発生した西鉄バスジッャク事件以後、路線高速バス用の車両には、他車へ緊急事態の発生を通報する装置が装着されている。その実態はあまり知られておらず、何が緊急時を示すのかが一般にあまり浸透してないのが欠点だが、バス会社の話をまとめた場合、以下の動作をするものが大半だ。
非常通報装置を動作させた場合には、バスの後部に設置された青ランプが点滅を始める。その後にハザードランプも点滅を始めるのだが、毎分60〜120回の点滅を倍化させ、160〜180回の点滅を繰り返すようになっているという。ヘッドランプもパッシング動作を反復させるなど、見た目にも「あのバス、何かおかしいんじゃないか」と感じさせる工夫がしてある。
また、行先表示板にも「SOS 緊急事態発生中」という設定があり、最近増加傾向にあるLED式のものでは「このバスに緊急事態が発生しました。警察への110番通報をお願いします」といった具体的なメッセージをスクロール表示するものまで登場しているという。
これらの操作はボタンひとつで完了するが、ハザードランプの点滅を行う際にはリレーボックスがカチカチと音を立てることから、犯人が興奮する可能性も高い。今回の事件で運転手が「外部との連絡が取れており、犯人を興奮するために非常通報装置を使わなかった」というのはこのあたりに理由がある。