自分たちを包囲する警察官を排除しようとクルマを急発進させた車上荒らし容疑者が、この行為に危険を感じた3人の警官から銃撃を受けたという事件について奈良県警は5日、銃弾2発が首に命中し、意識不明状態が続いていた28歳の男が死亡したことを明らかにした。
問題の事件は9月10日の午後に発生している。奈良県橿原市内で起きた車上荒らし事件の容疑者とみられる男2人が乗ったクルマを自動車警ら隊と機動捜査隊のパトカーが追跡し、発見現場から20kmあまり離れた大和郡山市下三橋町付近まで追い詰めた。
クルマはパトカーに包囲されて進路を阻まれる形になったが、投降を呼びかける警察官に向けて急発進させる素振りを見せたため、この行為に危険を感じた警官3人が事前の警告や威嚇なしに拳銃を発砲。発
射された8発中2発が運転席にいた28歳の男に、1発が助手席にいた26歳の男に命中した。2人はすぐに病院へ運ばれたが、28歳の男は直後から意識不明の状態が続き、結局は意識が回復しないまま5日に死亡したという。
発砲した警察官3人のうち、最も多くの弾を発砲した1人がパニック状態になっていたという指摘も現場に居合わせた警官の中から上がっており、県警では現在も発砲に至る経緯を調べている。しかし、発砲そのものについては「正当だと判断する」としており、今回の被疑者死亡については「残念な結果になった」ともコメントしている。
窃盗容疑については被疑者死亡のまま送検する方針で、同じく5日に退院したもう1人の容疑者からは逃走中の行動などについて事情を聞く方針だ。