昨年11月、脇見運転を起因とする接触事故の弾みで乗用車を対向車線に逸脱させ、走ってきたバスと正面衝突する事故をさらに起こし、47人を死傷させたことで業務上過失致死傷罪に問われた25歳の男に対する判決公判が15日、函館地裁で開かれた。裁判所は被告に禁固2年の実刑判決を言い渡している。
この事故は2002年11月23日に発生している。北海道森町の国道5号線を走行していた乗用車が道路左側の縁石に接触。弾みで対向車線側に逸脱し、走ってきた大型観光バスと正面衝突した。バスは衝突直後に陸橋上から7.6m下にあるJR函館本線の線路上に転落し、42歳の運転手が死亡、乗客46人が重軽傷を負った。
転落当時、函館本線の現場付近には通過予定の貨物列車が接近していたが、バスが転落した際にJR線側の信号ケーブルを損傷させたことで赤信号表示となり、これに気がついた機関士が急ブレーキを掛けて400m手前で緊急停止。バスと列車が衝突するという二次災害は避けられた。
警察は乗用車を運転していた24歳(当時)の男を業務上過失致死傷容疑で逮捕し、取り調べを進めたところ、バスとの衝突直前に脇見運転を行っていたことを自供。これが原因で縁石に接触していたことが判明した。
15日に行われた判決公判で、函館地裁の伊藤聡裁判官は「注意を欠いた運転で事故を起こしたが、その結果は重大なもので刑事責任を免れることはできない」と指摘、被告に禁固2年の実刑判決を言い渡した。