警視庁は12日、国土交通省大臣の認可を受けずに民間救急業を営み、本物同様に改造した救急車両を使って患者の輸送を請け負っていたとして、業務上横領罪で起訴されている56歳の男を道路運送法違反(無許可経営)容疑で再逮捕した。また、運転を担当していた24歳の男も同容疑で逮捕されている。
警視庁・交通捜査課、同・東大和署の調べによると、この男は民間救急業を営む際に必要な旅客自動車運送事業の許可や、東京都公安委員会による緊急車両の指定を得ないまま、本物の救急車と同様の改造を施したクルマを使い、患者を自宅から病院へ送ったり、病院間の搬送を有料で引き受けていた疑いが持たれている。
これまでの調べで少なくとも30回の輸送を行い、輸送中は通常の救急車と同じように赤色灯とサイレンを併用し、赤信号の交差点も通過していたとみられる。
男は以前、別の民間救急業者に勤務していたが、自分の月給が30万円前後と安いのに対し、民間救急車の搬送代が意外に高いことに目を付け、自分で会社を興すことを決意。高規格救急車と同じベース車両を購入し、さらに400万円を掛けて救急車仕様に改造していた。
改造については本物の救急車製造を手がける業者が担当しているため、中身は全く同じ。唯一違うのは旅客自動車運送事業の認可を得ていないため、ナンバーが白いということだった。
なお、旅客自動車運送事業の認可は条件さえ整っていれば比較的容易に取得できる。ただし、民間の救急業では「救急車型のタクシーに乗客を乗せる」というニュアンスとなり、厳密に言うと救急車とは異なる。
救急車の場合、緊急車両の認可を得られるのは医療法人などに限られ、実績の無い民間救急業が認可を得ることは困難だという。