当て逃げ事件の証拠隠滅---元警部補に有罪

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2000年に栃木県小山市内で発生した当て逃げ事件の捜査を長期間放置し、証拠物件となる車両を勝手に処分したとして犯人隠避と証拠隠滅の罪に問われた53歳になる栃木県警の元警部補に対し、宇都宮地裁は25日、懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。

問題の事故は2000年3月21日の未明に発生している。小山市内の国道4号線でトラックに乗用車が衝突するという事故が起きた。乗用車を運転していた男は現場にクルマを放置し、徒歩で逃走していたが、同日中に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されている。

この際、小山署の交通課に所属していた警部補が事件担当となったが、別のひき逃げ事故の捜査を抱えていたことや、すでに容疑者が逮捕されているという安心感から捜査を行わず放置していた。

ところが昨年2月に関東管区警察局による監査が入ることがわかり、捜査放置が発覚することを恐れた警部補は証拠物件として押収していた車両を1月下旬までに市内の業者に引き渡し、同年10月には処分させるなどしていた。

この間、捜査書類の紛失も明らかになったことから、警部補は事件そのものを無かったことにしようと画策した。

ところが今年2月、当て逃げ事故を起こした容疑者が、別の事件で逮捕された際に「あの当て逃げは前科になっていないのか?」と尋ねたことから隠蔽が発覚。証拠物件を率先して処分させていたということも明らかになった。

警部補は今年3月に停職6カ月の懲戒処分を言い渡された際、依願退職している。

25日の判決公判で宇都宮地裁の野口佳子裁判官は「国民の警察に対する信頼に与えた影響は大きい」と述べるとともに、「自己中心的な犯行である」と認め、元警部補に対して懲役1年(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡した。

栃木県警の証拠隠滅事件については、これ以外の事件も同時期に明らかとなっており、関東管区警察局も「非常に悪質」と判断している。

《石田真一》

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