被害者側からの暴力…PTSDになった加害者の賠償請求認められる

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歩行者と接触事故を起こした70歳代の女性(事故の加害者)が、事故直後に被害者の友人から路上で背負い投げを受けるなどの暴行を受けた。

女性は恐怖を感じ、似たような容姿の男性に恐怖を感じるPTSD(心的外傷後ストレス障害)症状が出て、日常生活が送れなくなったとして、男性に対して総額550万円の損害賠償を求めた民事訴訟で、松江地裁は3日、「暴行でPTSDを発症した」と認定、約440万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

交通事故の加害者が、その後の対応でPTSDを発症し、それに対しての賠償を被害者側に近い存在の者に命じるというのは極めて珍しい。

問題の事故は1999年11月1日に島根県安来市内で発生している。原告となった70歳代の女性がクルマを運転中に交差点を右折しようとしたところ、横断中の男性と接触し、男性が軽傷を負った。

女性はすぐにクルマを止め、車外に出て様子を確認しようとしたところ、被害者と一緒に歩いていた60歳代の男が「お前、何をするんだ」などと言いながら、女性をその場で背負い投げし、アスファルトの路面に叩きつけた。

さらには襟首をつかんで顔面を数回殴打した。軽傷だった被害者がすぐに止めに入ったが、女性は数カ所の骨折を含む重傷を負った。通報によって駆けつけた救急車に乗ったのは交通事故の被害者ではなく、加害者という状態だった。

以後、この女性は自分に暴力を加えた男と似通った容姿の人を見ると恐怖感を覚えて全身の震えが止まらなくなったり、不眠に陥るなどの症状も頻発するようになった。また、暴行を受けた際の様子を夢に見て失禁するなど、日常生活にも支障が出るようになった。

昨年秋までに「暴行を原因とする心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した」と精神科医が認定。女性はこれを受け、暴行を行った男を相手取り、総額550万円あまりの賠償を求め、昨年11月に提訴していた。

3日に行われた判決で、松江地裁の上寺誠裁判官は「暴行は明らかに過剰で、原告が肉体的、精神的な苦痛は重大と考えられる。経緯やその症状から判断しても、暴行がPTSDの発端であることは間違いない」として、暴行を加えた男に対して約440万円の支払いを命じている。

交通事故に巻き込まれたことでPTSD症状を発し、それに対して賠償請求を行うという民事訴訟はこれまでにも存在し、賠償命令が行われるケースも徐々に増えつつある。

だが、今回の裁判のように加害者が被害者側(被害者に近い存在の者)に対して賠償請求を行うというのは極めてレアだといえる。もっとも、今回の場合は誰が判断しても行き過ぎ感はあり、賠償が命じられても仕方が無いといえる。

《石田真一》

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