視界を悪くする装飾をトラックに付けないで…警察が自粛要請

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今年11月下旬、川崎市内で県道を横断しようとしていた親子がトラックにはねられて死傷した事故について、神奈川県警は10日、事故を起こしたトラックの運転席に装着されていた装飾板が前方視界を妨げ、歩行者が運転席から死角に入っていたことを明らかにした。

県警では同日までに神奈川県トラック協会に対し、装飾版の装着自粛を申し入れている。

問題の事故は今年11月26日に発生している。同日の午前10時20分ごろ、川崎市中原区田尻町付近の県道を横断しようとしていた36歳の女性と、ベビーカーに乗っていた生後10カ月の男児が、県道を進行してきた45歳の男が運転する普通トラックにはねられたというもの。

現場は見通しの良い直線道路だったが、トラックは横断している女性には気がつかず、そのまま進行。倒したベビーカーを引きずったまま6mほど走り、ようやく停止した。2人はすぐに病院へ収容されたが、女性が右足の骨を折る重傷を負い、男児は心臓破裂が原因で即死した。

現場の道路構造には問題が無いと判断されたため、警察では車両の検分を進めたが、その結果、事故を起こしたトラックの運転席フロンロガラス下部に取り付けられていた高さ30cmの装飾板が前方視界を著しく低下させていたことが判明した。

この装飾板はダッシュボード上に置いた小物などを隠すためのもの。装飾板を取り付けない状態では高さ2.4m付近にある運転席に座った場合、前方3.3メートル先の地面が見えていた。しかし、装飾板を取り付けた場合には5.3m先がようやく見える状態になってしまうことが実験の結果として明らかになった。

事故に巻き込まれた女性は身長163cmだったが、装飾版が外された場合ではトラックの前方0.9mに立っていても確認が出来るものの、装飾版ありの場合には2.7mより先にいないと上半身が見えないこともわかっている。

被害女性がどのようなタイミングで横断を始めたのかはまだわかっていないが、警察では横断開始の段階で女性とベビーカーは死角におり、運転手は2人の存在に全く気がついていなかった可能性を示唆している。

このように危険を生じやすい装飾板だが、現行法では取り付け自体は違法にならない。しかし、道路運送車両法では「運転席前方2mの地面と、横3mの地面は見えなくてはならない」と規定されており、警察では神奈川県トラック協会に対し、「視界を悪くする装飾板については自主的に排除していただきたい」との申し入れを行ったという。

《石田真一》

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