一審判決まで10年8カ月---交通事故裁判

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1991年4月に青森県青森市内で起きた交通死亡事故を巡り、被告の当事者責任の有無を争って、10年以上に渡って争われてきた裁判の判決公判が5日、青森地裁で行われた。裁判所は生存した被告が事故の当事者であると認定、執行猶予付きの有罪判決を言い渡している。

この事故は1991年4月6日未明、青森市内で発生した。青森市八ツ役矢作の県道で軽自動車が道路左側の電柱に激突。当時29歳の女性が車外に放出され、全身を強く打って死亡した。

警察ではこのクルマを運転していたとされる当時25歳(現在は37歳)の男から事情を聞いていたが、当初は「自分で運転していた」と認めていたものの、男はその後に証言を一変。以後は「自分は助手席で寝ていた」と強固に主張した。

検察は「運転していたのは男であることは間違いない」として業務上過失致死と道路交通法違反(酒気帯び運転など)の罪で1993年3月に起訴。同年6月から青森地裁で公判がスタートした。

男は公判でも「自分は助手席に乗っていた」と主張。検察側と弁護側の双方がそれぞれ別の交通事故鑑定人に調査を依頼、結果として4人の鑑定人が法廷に上がった。しかし、それぞれの鑑定結果が異なっており、双方が鑑定人に対して執拗な質問を繰り返したことで事態は紛糾。

交通事故関連の刑事裁判としては極めて異例だが、一審が10年を経過するという事態になっていた。

5日に行われた判決公判で、青森地裁の高原章裁判長は「被告が運転していたことは間違いない」と最終的に認定した。

被告が運転していたとする証拠については「被告の着衣から発見されたプラスチック片は、運転席側メーターパネルの破損部位と適合する」こと。そして「助手席のドア内側に付着していた繊維と、女性のハイヒール左側面に付着の繊維が同種である」ということ。また「女性の顔に付着していたクルマの塗膜片は、大きく損傷していた助手席側から車外に放出された際に付着したと考えるのが適当である」などの理由を挙げた。

その上で「飲酒運転によって事故を引き起こした責任は重大だが、裁判が10年以上も続いたことで被告は社会的な非難を集中的に受けてきた。また、被告が飲酒していることを知りながら同乗した女性にも少なからずの落ち度はある」として情状の酌量を認め、懲役2年6カ月(執行猶予4年)の有罪判決を言い渡した。

《石田真一》

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