“リサイクル不能”とされた暴走族に救いの手?

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昨年6月、暴走族を脱退したいと表明した15歳の少年が、同じグループに所属されていたメンバーから壮絶な暴行を受けて死亡したという事件で、水戸地裁は29日、実行役とされた3人の少年を「保護処分相当」と判断し、水戸家裁に移送することを決定した。

地裁が決定した家裁移送については検察側が不服を申し立てることは出来ず、事実上この3人の保護処分は決まったといえる。

この事件は昨年6月に茨城県三和町で発生している。暴走族を脱退したいと表明した当時15歳の少年が、同じグループの仲間9人から「脱退制裁」と呼ばれる暴行を数時間に渡って受け、約10時間30分後に収容先の病院で死亡したというもの。

暴行を加えた実行役の3人はいずれも同学年。このうち2人は事件当時15歳だったが、事件を担当した水戸家裁下妻支部は検察官送致を経て、地裁において傷害致死罪で起訴された。

2001年4月に施行された改正少年法によって刑事処分の適用年齢が「14歳以上」に引き下げられたが、今回の事件はこれまでの基準だった16歳以下の少年が受ける刑事裁判としては全国で2例目のものとなっていた。

検察側は「3人の行った行為は悪質極まりない」として、懲役5年から10年の不定期刑を求めていたが、水戸地裁の林正彦裁判長は「暴力で人の命を奪うのは、悪質で重大」としながらも、「刑事罰よりは保護処分がふさわしい」と最終的に判断。3人を水戸家裁に移送し、改めて少年審判を受けさせるという決定を行った。

決定理由として裁判長は「暴走族特有の論理に基づく反社会的事件で、厳正な刑事罰を与えることも考えられるが、暴行は暴走族の年長構成員の指示であるために逆らいようが無かった」、「自発的に行った犯行ではなく、教育的働きかけで精神的未熟さを改善する余地がある」、「被告が事件の重大性を認識しつつあり、それは教育で補完できる」などを挙げた。

この3人については、検察官送致を決めた水戸家裁下妻支部の裁判官が、少年審判の席上で「暴走族をやっていた君たちはリサイクルの出来ない産業廃棄物以下だ」と発言したという経緯がある。

「リサイクルの出来ない産業廃棄物以下の存在」だから刑事罰を与える必要があると判断した家裁の裁判官と、「再教育に社会復帰が可能である」と判断した地裁の裁判官の判断。このどちらが正しいのかを実証するのは3人の今後だといえるだろう。

《石田真一》

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