車いす女性がバス運転手から罵声

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大阪府大阪市内に住む下肢障害者の女性が大阪市交通局が運行するバス(市バス)を車いすで利用しようとした際、運転手から差別的な言葉を掛けられたり、乗車を拒否されるなどの精神的苦痛を受けたとして、大阪市を相手に総額200万円の損害賠償を求める訴えを起こした。

訴えによると、この女性は2002年9月から11月までの間、自宅のある大阪市住之江区内などから市バスを合計4回利用した際、いずれも別の運転手から車いすでの利用について暴言を吐かれ、苦痛を感じたとしている。

女性が利用したのはバリアフリー設備の無い通常の車両で、こうした車両の場合には運転手が乗降を介助する必要がある。ところがこうした作業を嫌ったのか、運転手が女性に対して「どうしてリフト付きバスとか、ノンステップバスを選んで乗らへんのか」と嫌味を言うことが3回あったという。

別の運転手は女性がバスに乗車しようとした際に「これには乗れん。リフト付きバスかノンステップバスに乗れ」とインターホンで言い放つと、乗車を拒否してそのまま走り去ったという。

女性はトラブルが起こるたびに大阪市交通局に対して抗議を行ってきたが、一向に改善が見られないため、今回の提訴に踏み切った。

大阪市交通局では「訴状が送達されておらず、訴えの内容についてはコメントできない」としているが、バリアフリー対応車が足らないことに起因する苦情が市民から寄せられていたということについては大筋で認めている。

同局には昨年末の段階で912台の路線バス車両が配備されているが、このうちバリアフリー対応を済ませている車両は210台に留まる。経年劣化を理由とした車両更新の度に対応車への更新を進めているが、対応車への置き換えが完了するのは2010年以降になると見込まれている。

現在ノンステップバスが投入されている路線はWebサイトで公開されているが、運行時間は日々変わるため、障害者にとって使い勝手が良いとは言えない。

また、非バリアフリー対応車の場合には運転手に過大な負担(大人1人分+車いすの重量を持ち上げる)を強いることになる。運転手には腰痛を持病とする者が多いこともあり、今回の件に限らず、どこのバス事業者でも非バリアフリー対応車での車いす対応については議論が持ち上がっている。

《石田真一》

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