家族と言い争いをしたことで自暴自棄となり、路線高速バスを乗っ取り、人質強要処罰法違反と銃刀法違反の罪に問われた22歳の男に対しての判決公判が18日、長野地裁で開かれた。裁判所は男に対して懲役4年の実刑判決を言い渡している。
この事件は昨年の7月28日に発生している。同日の午後6時40分ごろ、新宿からJR長野駅前を目指して走っていた川中島バスの路線高速バスが長野県坂城町内の上信越道を走行中、刃物を持った乗客の男に乗っ取られた。
男は運転手に刃物を突きつけて近くのパーキングエリア(PA)に入るように要求。さらには「警察を呼べ」、「パトカーをたくさん集めろ」という要求を行うなど、通常のバスジャック犯とは異なる印象も見せた。
さらに到着したPAで乗客33人もあっさりと解放。運転手のみを人質に取って車内で1時間ほど立てこもったが、運転手から「お前は若いんだからまだまだやれることはいっぱいある」、「誰にもケガさせていないから大丈夫だよ」などと説得され、運転手の解放と投降を決意。直後に逮捕された。
18日の判決公判で長野地裁の青木正良裁判官は「被告は職場の人間関係に悩んだ上、事件当日に家族と口論したことで自暴自棄になり、バスジャック犯行を思い付いた」と指摘した。その上で「犯行はあまりにも身勝手で短絡的、情状を酌量する余地はない」として、懲役4年の実刑を言い渡した。