悲劇再び…奈良交通でバス運転手が急死

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奈良交通は3月31日、同社の路線バスの運行を担当していた47歳の男性運転手が乗務中に体調不良を訴え、その2時間後に心筋梗塞が原因で死亡していたことを明らかにした。

同社では昨年10月にも路線バスに乗務中の56歳運転手が死亡しており、今回が二度目となる。

同社によると、この運転手は3月20日の午前10時45分ごろ、菟田野町発のJR桜井駅行きの路線バスを運転して大宇陀町付近を走行していた際、自分が所属する榛原営業所の運行管理者に電話を掛け、「胸が痛い。尋常ではないほど気分が悪い。代わりの運転手を頼みたい」と連絡してきた。

運行管理者は合流するポイントを通報したバス停から1.7km先の別のバス停に設定。運転手に対してそこまで運転を継続するように求めるとともに、代替の運転手を派遣した。

バスは13分後の午前11時ごろに合流ポイントに設定された桜井市内の笠間辻バス停に到着。ここで別の運転手と交替し、そのまま近くの病院に向かった。

しかし、運転手はこの直後に容態が急変。そのまま意識が混濁する状態となり、同日の午後0時50分に心筋梗塞が原因で死亡した。

同社では昨年10月にも運転席で出発待機中の56歳運転手が車内で意識不明となり、解離性大動脈りゅう破裂による大出血で死亡している。この運転手の死亡については国土交通省・近畿運輸局が同社に対する特別監査を実施している。

結果として死亡した運転手を含め、道路運送法に基く旅客自動車運送事業運輸規則で定められた勤務時間をオーバーしていることを確認。実際の乗務時間についても規定を超過しており、これが過労要因になっていると最終的に認定し、同社に対して路線バス車両4台を5日間の運行停止とする行政処分を3月1日に命じた。

同社では「2月の時間外労働は約21時間で、そんなに多くはないと考える。昨年秋の健康診断でも異常は無いとされており、今回の事態には大変なショックを受けている」とコメントしている。

同社では特別監査以後、全社を挙げて過労運転防止に向けた取り組みを推進しているが、近畿運輸局では今回の運転手急死を受け、近日中に二度目の監査を行う考えを示している。

《石田真一》

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