埼玉県警は4月30日、駐車場から乗用車を盗み出し、乗り回していた29歳の男を窃盗容疑で逮捕した。盗まれたクルマとすれ違ったクルマの所有者の友人が、いつも行われるクラクションでの合図が無いことを不審に思い、追跡したことが容疑者逮捕につながったという。
埼玉県警・所沢署によると、事件が起きたのは4月29日の午後11時30分ごろ。所沢市和ケ原付近にある民家に29歳の男が侵入。未施錠だった玄関に置いてあったクルマのキーを盗み、ついで敷地内に止めてあった乗用車(時価120万円相当)を盗み、そのまま逃走した。
男は所沢市中心部に向けてクルマを走らせていたが、およそ30分後の30日午前0時ごろに1台のクルマとすれ違った。このクルマには盗まれたクルマを所有する27歳男性の友人が乗っており、友人は男性が運転しているものと思い込み、恒例となっているクラクションでの合図を行った。
ところがこれに対する反応が返ってこなかったため、友人は男性に電話を掛けて「おいおい、無視するなよ」と言ったところ、クルマが約30分前に盗難被害に遭い、自宅から持ち出されていることがわかった。
友人はすぐにクルマをUターンさせて追跡を開始。途中で見失ってしまったが、西武池袋線・所沢駅前で盗まれたクルマを発見した。
同乗していた別の友人は「すぐに警察に届けよう」と進言したが、このクルマに誰も乗っていなかったことから、友人は「盗んだやつは必ずクルマへ戻ってくる」として張り込みを開始。
約40分後にクルマへ乗り込もうとする人物を発見。2人で取り押さえて警察に突き出した。警察でも盗難被害を確認しており、男を窃盗容疑で緊急逮捕した。
盗まれたクルマと、友人が乗っていたクルマは下3ケタが同じ番号となっており、これは小学校時代から仲の良い両者が相談して決めたものだという。「それだけに見間違うこともなく、クラクションが鳴らされないことで不審に思った」と、逮捕に協力した友人は証言している。
警察では「機転の良さが犯人逮捕につながった」として、4月30日午後に2人へ対して感謝状を贈呈している。