北九州市消防局は7日、同市内にあるガソリンスタンドが今年3月、ハイオクガソリンの混じった灯油を販売したという問題で、このガソリンスタンドに燃料を供給した運送会社と、供給作業を行った55歳の運転手を消防法違反容疑で福岡県警に刑事告発した。
このトラブルは今年3月13日に発生している。同日の午後8時ごろ、北九州市小倉北区内にあるガソリンスタンドから「ハイオクガソリンが混入した灯油を誤って販売してしまった」という届け出が警察と消防に寄せられた。
このスタンドには同日の早朝、供給元から燃料を輸送してきたタンクローリーが地下タンクに燃料を補給したが、この際に灯油が入っていたタンクに誤ってハイオクガソリン約2000リットルを注入してしまった。
補給作業を担当した55歳の運転手は途中でこのミスに気づいたが、解雇されることを恐れてガソリンスタンド側には事態を知らせなかった。ガソリンスタンド側も通常どおりに販売を続けたが、同日の午後になって購入者から「いつもの灯油と匂いが違う」という指摘を受け、調べた結果としてハイオクガソリンと灯油がタンク内でミックスされていたことが明らかになった。
発覚した時点で625リットルがすでに販売されており、クレジットカードの明細や会員カードの記録から販売先が特定できたのは461リットル分に留まった。残り164リットルは現金で購入されており、誰が購入したかは不明となっていたが、警察や消防が広報活動を続け、この分についても使用される前に全量の回収に成功した。
事態を重く見た北九州市消防局は特別監査を続けてきたが、供給元からの輸送を担当した長崎県長崎市に本社を持つ運送会社のチェック体制と、タンクへの補給を担当した運転手の双方に一定の責任が生じると判断。この両者を消防法違反容疑で刑事告発した。
運送会社は問題の運転手を4月1日付けで解雇しており、消防局に対しては「まずはミスを生じさせないように従業員への指導を徹底し、万が一ミスが生じた場合にはそれを早急に報告するという体制づくりに着手したい」と、再発防止を約束している。