愛知県警は7日、部下の申し出に応じる形で自分の父親の香典返しを公用車を使って配布させていた北署の署長と、公用車を管理する立場にある副署長に対して、戒告や訓戒などの懲戒処分を同日付けで実施した。
愛知県警・監察官室によると、問題となった不祥事は今年2月に発生している。北署で署長職にある警視正が、実父が死亡した際の葬儀に参列した警察関係者に送るため、私費で購入した香典返し300個について、部下に対して各署に届けるように指示。
これを受けて警務課に所属する署員延べ9人が勤務時間中に公用車を使い、約10日間かけて170個を配布した。
配送に使われた公用車は副署長の管理下にあるもので、普段は署長が外出したり、生活安全課が広報用として使用しているものだが、配送が行われた際の運行日誌には使用目的が記されておらず、「XX署」といった行き先のみが記されていたという。
監察官室の調べに対し、警視正は「自分から依頼したのではなく、部下がやりますと言ってきた」などと説明。公用車の使用については自分から「副署長に対して“頼むよ”と依頼した」と、使用を黙認するように迫っていたことも大筋で認めた。
また、実際に配送を担当した署員の中には、監察官室の聴取に対して「自発的にやったとは言えない面もある」と証言。一種の命令でなされたことも暗に示している。
これらの経緯から監察官室では「公用車の私的利用が行われた」と判断。署長にガソリン代や高速代など約35万円の費用返納を求めるとともに、7日付けで署長に対して戒告処分を、私的利用された公用車を管理する立場にあった副署長に対して本部長訓戒の処分をそれぞれ実施している。
この件に関して県警では「警察署の最高責任者である署長が公私混同する形で公用車を私的利用したことはあるまじき行為であり、極めて遺憾だ」というコメントを発表している。