高級RV車をターゲットとして26都道府県で盗みを繰り返し、海外に輸出するブローカーなどに転売していたとして、窃盗などの罪に問われていた47歳の男に対する判決公判が12日、佐賀地裁で開かれた。
裁判所は「リーダーと呼ばれ、盗難技術を他者に伝達した責任は重い」として、被告の男に対して懲役7年の実刑判決を言い渡した。
この男は2001年5月ごろから2003年5月までの約2年間に、トヨタ『ランドクルーザー』などの高級RVをターゲットに盗みを繰り返し、車台番号を他のクルマのものと入れ替えるなどして正規の中古車に見せかけ、アラブ首長国連邦やロシア、北朝鮮などに輸出するブローカーに転売していた。
男は自分で直接盗み出すだけではなく、関東と関西にも窃盗グループのメンバーを派遣。それぞれの地区でリーダーを務める人物に盗難防止装置の外し方など、盗難するための具体的テクニックも提供、盗難技術を向上していったという疑いも持たれている。
男はメンバーから「リーダー」、「会長」などとも呼ばれ、難易度の高いクルマを盗んだメンバーに対しては成功報酬を与えていた。
12日に行われた判決公判で、佐賀地裁の坂主勉裁判官は「被告は会長と呼ばれ、配下に成功報酬を与えたり、仲間と盗みの技術を研究開発するなどしていた」と指摘した。その上でこのような被告の行動については「多数の者を犯罪に引き込み、社会に甚大な被害を与えた反社会的集団のリーダーとして刑事責任は格段に重く悪質であり、情状を酌量する余地もない」として、被告に対して懲役7年の実刑判決を言い渡した。
弁護側は「被害者に被害の弁済も行っており、量刑は不当に重い」として控訴する意思があることを表明している。