過重労働の指示、事故後も

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国土交通省・関東運輸局は22日、2002年8月に運転手の過労運転が原因で11人が死傷する多重衝突事故を起こした茨城県内の運送会社が、事故が起きた後にも恒常的に運転手へ超過勤務を命じていた可能性が高いことを明らかにした。

今月中にも貨物自動車運送事業法に基づいた処分を実施する方針だという。

同局によると、運転手に対して恒常的に超過勤務を指示していた疑いが強まったのは、茨城県日立市内にある運送会社。

この会社に勤務していた運転手は2002年8月10日の早朝、三重県鈴鹿市内の東名阪自動車道で渋滞中の車列に大型トラックで追突する事故を起こし、その後に発生した車両火災などで11人が死傷するという惨事を起こした。

事故を起こした運転手は、事故を起こすまでの3日間に茨城−大阪間の往復を繰り返していたことが判明。事故を起こした日は途中休憩なしで走行、連続の長距離運転で極度の過労状態となり、事故の直前から数時間までの記憶はほとんどなく、運転手は漫然と大型トラックを走らせている状態だった。

この事故では運転手に過酷な勤務を命じた運行管理者の責任も追及され、2003年5月には津地裁が執行猶予付きの有罪判決を言い渡している。

ところが事故後も会社の体質は変わっていなかったようで、同局が今年6月にこの会社への立ち入り調査を行ったところ、運転手が会社側に提出していた運転日報と運行記録の乗務時間、そして運転手からのヒアリングの結果がすべて異なっていたことが判明した。

運転手が口頭で供述した勤務時間の方がはるかに長く、運行記録との整合性がほとんど見られないことがわかった。

これらの理由から、同局では「会社ぐるみで過重労働の隠蔽工作を行っていた」と判断。今月中には貨物自動車運送事業法に基づいた営業停止の処分を言い渡す方針だという。

《石田真一》

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